週明けの日経平均は3日続落
週明けの日経平均は3日続落。米国がイランの核施設を攻撃したことを嫌気して序盤は下げ幅を広げました。ただ、心理的節目の38,000円に接近したところでは買い戻しが入り、下げ渋るムードが次第に強まる展開となりました。後場はドル円が1ドル=147円台に乗せるなど円安に弾みがつく中、一段と下げ幅を縮小して終えました。
東証プライム市場の売買代金は概算で3兆8,300億円。値上がり銘柄数653に対して、値下がりは915銘柄と、値下がり優位の展開でした。業種別では、鉱業、精密機器、食料品などが上昇した一方、電気・ガス、非鉄金属、鉄鋼などが下落しました。
個別では、中東の地政学リスクの高まりを受けて原油高が意識され、INPEX(1605)が買いを集めました。日経平均の構成銘柄に採用が決まったローム(6963)が5%を超える上昇。取締役および執行役員の異動を発表したホギメディカル(3593)が急騰しました。
一方、フジクラ(5803)や古河電工(5801)など電線株が軟調。円安に振れたものの、自動車株は多くが下落となりました。また、ソニーG(6758)、NEC(6701)など電機株が売りに押されました。
週足でみるロームの株価推移
図表は、ローム(6963)の2021年12月からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線です。下位は、売られ過ぎや買われ過ぎなどをみるオシレータ系指標で代表的な相対力指数のRSI(9週ベース)の推移です。
大局的には、2023年7月高値(3,563.7円)を天井に下落トレンドが確認できます。途中、26週移動平均線などまで反発する場面もありましたが、その反動が生じるたびに底割れし、水準を切り下げていきました。高値と安値を切り下げる展開的な弱気相場です。
基本的に下落トレンドは、高値と安値を切り下げる波動になるほか、下落期間が長く、反発(上昇)期間が短いのが特徴です。それゆえに、下落幅の方が大きく、上昇幅は小さくなります。
足元は、今年4月につけた安値(1,069円)からの反発(上昇)局面が続いています。下落トレンドの中ではみられなかった52週移動平均線を上回る展開となっています。
これまで上値を抑えてきた26週移動平均線を上回り、長期の52週移動平均線を上回る展開になっているということは、相場の基調が変わってきたことを示唆しています。
さらに、大きなポイントは、下落トレンドの中における上昇幅が拡大し、これまでよりも大きくなっている点が1つです。これは、上昇幅の方が大きく、下落幅が小さい「上昇トレンド」が始まった可能性を高める現象面の1つになります。
2つ目は、2 月につけた直前高値(1,684.5円)を上抜けた点です。これは、高値と安値を切り下げる波動から、高値と安値を切り上げる「上昇トレンド」へ移行する可能性を高める現象面の1つになります。
次に、「上昇トレンド」への可能性を高める現象は、ゴールデンクロスでしょう。ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上回る現象です。
13週移動平均線や26週移動平均線が、株価の下で上向き始めているのが確認できます。順調にいけば、長期の52週移動平均線を上回る局面を迎えることになるでしょう。
一方、RSI(9週ベース)は過去に株価が高値をつけた水準以上に、買われ過ぎの水準まで上昇しています。先週は最高水準の100%に達し、週明け23日時点も同様です。
100%以上はないわけですから、ここからは低下するしかない水準まで上昇したことになります。つまり、短期的には上昇一服の可能性を想定する必要があるでしょう。
ただ、オシレータ指標にはダマシがある点に注意が必要です。オシレータ指標は買われ過ぎの水準では売り、売られ過ぎの水準では買いとする、逆張りシグナルとして見方が一般的です。しかし、このように下落トレンドから上昇トレンドに変化する局面には強い力が一時的に発生し、買われ過ぎの水準まで一気に上昇することがよくあるからです。
そのため、買われ過ぎの水準だから売り場と判断してしまうと、せっかく上昇トレンドに入るタイミングだったにもかかわらず、持ち株を売却してしまったというケースもあるでしょう。
上昇トレンドが始まった可能性を高める現象が複数確認できる状況です。ですから、オシレータ指標には買われ過ぎのシグナルは発生していますが、ゴールデンクロスにつながるかを確認するまで待つ、ということも重要な判断の1つになるでしょう。