NYダウ345ドル安と大幅に4日続落 SVBの経営破綻でリスク回避強まる

10日のNY株式相場は大幅続落。米2月雇用統計で失業率が予想以上に悪化し、平均賃金の伸びも予想を下回ったことで3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ見通しが後退したものの、SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻し、事業を停止したことで金融株を中心にリスク回避の売りが強まった。


前日に543ドル安となったダウ平均は、167ドル高まで上昇する場面もあったが、終盤に471ドル安まで下落し、345.22ドル安(-1.07%)と4日続落して終了。終値は昨年10月26日以来の32000ドル割れとなった。

S&P500とナスダック総合もそれぞれ1.45%安、1.76%安と大幅に2日続落した。


週間ではダウ平均が1481.33ドル安(-4.44%)、S&P500が4.55%安、ナスダック総合が4.71%安とそろって大幅反落。

年初来ではダウ平均が3.73%安とマイナス圏に沈み、S&P500が0.58%高、ナスダック総合が6.42%高となった。


業種別ではS&P500の全11セクターが下落。不動産が3.25%安、素材が2.15%安となり、資本財、金融、IT、公益も1.6%超下落した。


センチメントは大きく悪化。投資家の不安心理を示すVIX指数は24.80ポイントと前日比2.19ポイント上昇し、昨年12月12日以来の高水準となった。


米連邦預金保険公社(FDIC)は10日、シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻し、事業を停止したと発表。FDICが管財人になり預金保護を発動した。


親会社SVBファイナンシャルの株価は、増資計画の発表が嫌気されて前日に60.4%安と暴落したが、この日は取引が停止された。


SVBの営破綻を受けてシグネチャー・バンクが22.9%安、ファースト・リパブリック・バンクが14.8%安と地銀株が軒並み急落。

地銀株で構成されるSPDR S&Pリージョナル・バンキングETFは4.4%安となり、週間では16.1%安と2020年3月以来の急落となった。


先行きの利上げ見通しを巡り注目された米2月雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が31.1万人増となり市場予想の20.5万人増を上回る強い結果となった一方、失業率が3.6%と1月や予想の3.4%を上回る悪化となり、平均賃金の伸びも前月比+0.2%、前年比+4.6%となり、それぞれ予想の+0.3%、+4.7%を下回った。


雇用統計の結果を受けてCMEのフェド・ウォッチが示す3月FOMCでの0.50%の利上げ確率は前日の68%から40%に低下し、0.25%の利上げ確率が60%に上昇した。


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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