米国株3月月間回顧 3月は主要3指数がそろって反発

3月は主要3指数がそろって反発 ハイテク株が買われナスダック総合が大幅高


3月の米国市場では、ダウ平均が1.9%高、S&P500が3.5%高、ナスダック総合が6.7%高と主要3指数がそろって反発。

四半期では、ダウ平均が0.4%高と小幅高にとどまりましたが、S&P500が7.0%高となり、ナスダック総合は16.8%高と2020年第2四半期以来の大幅高となりました。


パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が金融引き締めに積極的なタカ派的内容だったことで利上げの長期化懸念が強まったほか、

シリコンバレーバンク(SVB)とシグネチャー・バンクの米地銀2行が破綻し、

欧州でも経営不安が続くクレディ・スイス株が急落したことで金融システム不安も強まりました。

センチメントは大きく悪化し、中旬にかけて売りが強まりました。


しかし、スイス国立銀行(中央銀行)主導で、クレディ・スイスがスイス金融最大手のUBSに買収されたことや、米財務省などが破綻した地銀2行の預金を保険の範囲を超えて全額保護するとしたことで金融システム不安が和らいだことに加え、

ミニ金融危機や弱い経済指標を受けてFRBによる利上げ打ち止め期待が高まったことなどで下旬は総じて堅調な推移となりました。


主要3指数は中旬にそろって月初来で3%近い下落となりましたが、米10年債利回りが上旬の4.1%付近から下旬に一時3.3%を割り込んだことで、ハイテク・グロース株を中心に買い戻しが強まり、ナスダック総合がS&P500とダウ平均を大きくアウトパフォームしました。


投資家の不安心理を示すVIX指数は2月末の20.70ポイントから金融システム不安の高まりを受けて13日に一時30.81ポイントと昨年10月24日以来の水準まで上昇しましたが、18.70ポイントで3月の取引を終了し、月間では2.00ポイント低下となりました。





セクター別ではS&P500の7セクターが上昇し、4セクターが下落


3月はS&P500の11セクターのうち、7セクターが上昇し、4セクターが下落しました。


騰落率上位は、ITが10.9%高、コミュニケーションが10.4%高と急伸したほか、公益が4.6%高、生活必需品が3.8%高となりS&P500(+3.5%)をアウトパフォーム。一般消費財とヘルスケアもそれぞれ3.0%高、2.1%高となりました。


一方、騰落率下位は、金融が9.7%安と大幅に下落し、不動産、素材、エネルギーが0.5-2.1%下落しました。


上昇率トップのITでは半導体株が軒並み大幅高。新製品への期待が高まったインテルが31.0%高となったほか、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が24.7%高、エヌビディアが19.6%高となりました。時価総額上位のマイクロソフトとアップルもそれぞれ15.6%高、11.9%高と急伸しました。

上昇率2位のコミュニケーションでも時価総額の大きいメタ・プラットフォームズが21.2%高、アルファベットが15.2%高となりました。



ダウ平均採用銘柄は19銘柄が上昇、11銘柄が下落


ダウ平均採用銘柄は、3月は月間で19銘柄が上昇し、11銘柄が下落しました。


新製品への期待が高まったインテルが31.0%高、予想を上回る増収増益決算や強い見通しが好感されたセールスフォースが22.1%高となったほか、ハイテク・ジャイアントのマイクロソフトとアップルもともに2桁高となりました。

このほか、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、シスコ・システムズ、マクドナルド、ボーイングも5-8%高となりました。


一方、金融システム不安が一時強まったことでJPモルガン・チェースが9.1%安、トラベラーズが7.4%安、ゴールドマン・サックスが7.0%安と金融株が軒並み安となりました。


年初来では、セールスフォースが50.7%高となったほか、アップル、インテル、マイクロソフトが20%超上昇し、ウォルトディズニー、アメリカン・エキスプレス、ボーイングも10%超上昇。

一方、スリーエム、ジョンソン&ジョンソン、ユナイテッドヘルス、ハネウェルが2桁の下落となりました。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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