【サイクルトランスレーション~その①】

サイクルトランスレーションの概要

サイクル(周期)は、「谷」→「山」→「谷」の一連の流れのことをいいますが、実際の相場の周期や振幅は不規則で、山や谷の位置も左右どちらかに偏っています。この状態を、「トランスレーション」と呼びます。


サイクルの山が谷と谷のちょうど真ん中(理想的な中点)に現れることはめったにありません。谷から谷までの期間が一定の周期性を持っている複数のサイクルでも、山から山までのそれぞれの期間は異なる場合が多いからです。


サイクルトランスレーション分析は、山がどちらの谷の方に寄っているか、どちらの谷の方が高いかによって、相場の強弱を判断しようとするものです。


サイクルの山はより長期のサイクルの影響を受けます。周期の異なる複数のサイクルが存在する場合、より長期のサイクルがより短期のサイクルに対して支配性を発揮し、短期のサイクルはしばしば延長や短縮することがあります。


ライト・トランスレーション(右変型)

上昇トレンドでは、サイクルの山が理想的な中点から右側にずれることが多いです。サイクルの山が右側に位置する場合を「ライト・トランスレーション(右変型)」と呼びます(図表1)。


株式や為替、商品先物などの上昇トレンドでは、下降局面より上昇局面の期間の方が長いという特徴があります。したがって、山はサイクルの中点よりも右側に現れることが多いのです。


ライト・トランスレーション(右変型)は、(1)下落期間よりも上昇期間の方が長い、(2)両側の谷のうち、サイクルの始点より終点の方が高い。この(1)と(2)を兼ねた形状が理想的な強気相場です。


図表2は、東京エレクトロン(8035)の週足チャートです。大きな上昇相場の中で小さな上げ下げのサイクルが確認できますが、いずれも上昇する期間の方が長く、谷はサイクルの始点より終点の方が高いことが確認できます。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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