NYマーケットダイジェスト・5日 株大幅反発・金利上昇・原油高・円安

(5日終値)

ドル・円相場:1ドル=134.80円(前営業日比△0.51円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=148.54円(△0.64円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1019ドル(△0.0007ドル)

ダウ工業株30種平均:33674.38ドル(△546.64ドル)

ナスダック総合株価指数:12235.41(△269.01)

10年物米国債利回り:3.44%(△0.06%)

WTI原油先物6月限:1バレル=71.34ドル(△2.78ドル)

金先物6月限:1トロイオンス=2024.8ドル(▲30.9ドル)

 

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

 

(主な米経済指標)     <発表値>    <前回発表値>

4月米雇用統計

失業率            3.4%        3.5%

非農業部門雇用者数変化   25.3万人     16.5万人・改

平均時給(前月比)      0.5%        0.3%

平均時給(前年比)      4.4%       4.3%・改

3月米消費者信用残高    265.1億ドル   150.3億ドル・改

 

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

 

(各市場の動き)

・ドル円は4日ぶりに反発。米労働省が発表した4月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25.3万人増と予想の18.0万人増を上回り、失業率が3.4%と予想の3.6%より強い内容だったことが明らかになると、米景気悪化への過度な警戒が和らぎ全般ドル買いが先行。前日の高値134.88円を上抜けて一時135.12円と日通し高値を更新した。平均時給が前月比0.5%/前年比4.4%と予想の前月比0.3%/前年比4.2%を上回ったこともドル買いを誘った。

 ただ、135円台では戻りを売りたい向きも多く、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。一目均衡表転換線が位置する135.40円がレジスタンスとして働いたほか、市場では「3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に付けた高値135.70円が戻りの目処として意識されている」との声が聞かれ、2時前には134.63円付近まで下押しする場面があった。

 

・ユーロドルは小反発。米雇用統計の上振れをきっかけに全般ドル買いが先行すると一時1.0967ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測を背景にユーロ買い・ドル売りが入ったほか、ユーロ円の上昇につれた買いが入り一時1.1036ドル付近まで持ち直した。

 なお、大半のエコノミストは「ECBは7月までに0.25%の利上げをあと2回実施する」と予測しているようだ。

 

・ユーロ円は4日ぶりに反発。パックウエスト・バンコープやウエスタン・アライアンス・バンコープなど米地銀株が急反発すると、米中堅金融機関の連鎖的な経営破綻への警戒が緩和し、ダウ平均が一時620ドル超上昇。リスク・オフの動きが巻き戻される格好となり円売り・ユーロ買いが進んだ。1時過ぎには一時148.71円と日通し高値を更新した。

 

・カナダドルは全面高。カナダ統計局が発表した4月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が4.14万人増と予想の2.00万人増を上回り、失業率が5.0%と予想の5.1%より強い内容となったことを受けてカナダドル買いが広がった。対米ドルでは一時1.3371カナダドル、対ユーロでは1.4735カナダドル、対円では100.83円まで値を上げた。WTI原油先物価格が4%超上昇したことも産油国通貨とされるカナダドルの買いを促した。

 

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに大幅反発。良好な4月米雇用統計を受けて米景気悪化への過度な警戒が和らぐと買い戻しが優勢となった。今週に入り相場下落が続いていただけに、自律反発狙いの買いも入った。ブラード米セントルイス連銀総裁が「米金融当局が著しい景気低迷を招くことなくインフレ率を目標の2%に戻し、経済をソフトランディング(軟着陸)させることはなお可能」と述べたことも好感されて、指数は一時620ドル超上げた。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も5日ぶりに大幅反発した。

 

・米国債券相場で長期ゾーンは続落。4月米雇用統計が予想を上回ったことを受けて、米景気悪化への過度な警戒が和らぐと債券売りが優勢となった。米国株の大幅上昇も相場の重し。

 

・原油先物相場は1週間ぶりに反発。4月米雇用統計の各指標が軒並み予想を上回ったことで、景況への懸念が後退。このところ米欧利上げによる景気圧迫がエネルギー需要を弱めるとして売られていた原油相場に巻き戻しの買いが入った。

 

・金先物相場は4日ぶりに大幅反落。4月米雇用統計の各指標が軒並み市場予想より強い結果となったことで、米金利上昇・ドル高が先行。ドル高でドル建て金価格の割高感が高まり、上値を重くした。米雇用回復・景況の底堅さを受けた株高によるリスクセンチメント改善で、対欧州通貨などでリスク回避のドル買いが弱まったことから、ほどなくドル相場は失速。しかし、その後も米金利は上昇の勢いを緩めつつも高水準を維持。金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味後退が相場の動きを重くした。株高によるリスクセンチメントの改善は、リスク回避資産とされる金を購入する動機を弱める材料にもなった。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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