7月20日に行われた第27回参議院選挙の投開票では、与党の自民党が議席数を大きく減らしました。一方、現役世代の票を獲得して国民民主党、参政党が躍進するなど、これまでの選挙とは違う景色も見えています。
これを受けた連休明け22日の東京市場では、イベント通過で日経平均が上昇スタート、そしてマイナスに転じるなど方向感を欠く展開でした。ただ、大幅安とはならずそこまでのサプライズとは受け止められていない様子。世間では自民党の大敗と言われていますが、マーケットではさらに悪い結果を想定したもようです。
今後の政治が注目されるところ、23日朝方にトランプ米大統領が日米の関税交渉に合意したと発表し、相場は急騰しました。目まぐるしい状況ではありますが、トランプ政権の誕生後に買われてこなかった銘柄群への注目度が急上昇しているのは間違いないでしょう。今回は株価持ち直しが期待されそうな業種を探していこうと思います。
今年の業種別騰落率
7月23日は、日米の相互関税率が引き下げられたことで輸出関連銘柄が上昇のけん引役となりました。特に、自動車メーカーでみると時価総額国内トップのトヨタ自動車でさえも15%上昇する状況です。
ちなみに今年が始まってからの動きをみると、業種別ではどのような動きだったのでしょうか。東証33業種の値動きを昨年末~7月23日終値で比較すると以下のようになりました。
※各種データを基に弊社作成
最も上昇率が高いのは「その他製品」となりました。ここに入る銘柄は事業内容もバラバラですが、最も時価総額が大きいのは任天堂<7974>です。ニンテンドースイッチ2の期待から株価が昨年末比で大幅に上昇したため、指数もその影響が大きいといえます。
出所:トレーダーズウェブ 25年7月23日終値まで
反対に最も下落したのは「精密機器」でした。時価総額上位はオリンパス<7733>やテルモ<4543>、HOYA<7741>などが該当します。これらが昨年末比で大きく下落しており、指数を下押ししている形です。
出所:トレーダーズウェブ 25年7月23日終値まで
資金循環は起こるか
相場では常に資金が循環しており、その時によって買われる業種、売られる業種に偏りが発生することもあります。今年が始まってからはその動きが顕著に表れたことで、前述のような推移となりました。
ただ、状況が変われば逆回転することも相場ではよくあることです。下落基調を続けている業種や銘柄にはショートポジション(空売り)が積みあがっていることもあるため、大きな買い材料で上昇するとポジション解消の動きが強まります。
そうするとポジション解消による買い戻しが株価を押し上げ、これまでの下落トレンドから上昇トレンドへ転換するきっかけになることもしばしば。ちなみに23日の業種別騰落率を上昇率順に並べると、以下のようになりました。
※各種データを基に弊社作成 7月22日→同23日比
当日の上昇率をみると昨年末比で下落率が大きかった業種ほど上位となる傾向にあることがわかります。昨年末の水準からみれば、まだ差が大きい業種も少なくはありません。23日は輸送用機器、銀行、精密機器などが特に強かったので、そういった業種の中に一段高となる銘柄が眠っている可能性はありそうです。
とは言っても相互関税がゼロになったわけではないため、徐々に関税の悪影響が現れるだろう・・・といった市場が想定するストーリーが大きく変わったわけではありません。それを織り込んだうえで、このままトントン拍子で回復傾向となるのか、それとも目まぐるしく上下するのか、今後の政治や経済動向、企業業績次第としか言えないのが現状です。
ただ、これまでさえない状況だった業種が動いたことを契機に、自身のポートフォリオを見直すきっかけにはなるかもしれません。先が読めない相場をうまく切り抜けていきたいところです。