BTC、動意を欠いた…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年7月23日19時頃、対円では1733万円前後と前週(7日前)比で約2.2%低い水準で取引されています。BTCドルが11万8000ドル付近と、為替が円高に振れた関係で1%ほどBTC円よりも低下幅は小さくなっています。
前週比で下落してはいるものの、BTC相場は水準としては高止まりしているとも言えます。しかしながら、この1週間はやや動意を欠いた値動きです。先週18日にBTC円が強含むも、1800万円には届きませんでした。週末にかけて伸び悩むと、今週前半には1720万円を割り込む場面もありました。
米株主要指数・ナスダック総合やS&P500は史上最高値を更新しましたが、BTCとの連動性は薄れていました。日米が貿易協議で合意に達したとの報道で日経平均が急騰したものの、こちらに対してもBTCは関係なしとの雰囲気です。
※相場の動意とは、市場が動き出す兆候や気配のこと。
BTC円チャート
※Trading Viewより
BTC、現物ETFは13連勝ならず
ビットコイン相場の上昇に大きく貢献していた現物ETFも、資金のネット流入が止まりました。21日には全体で1.3億ドルの流出超となり、2日から12営業日続いていた流入超の記録が途絶えました。
「ビットコインETFへの12日連続流入が終了…」コインデスク
もっとも、12日間の1日平均流入額は5億ドルを超です。それを考えると、週初の流出はあくまで調整の範囲と言えるでしょう。また確かに上昇力は弱まったとはいえ、BTCドルは14日につけた史上最高値からまだ4%ほど下回った水準です。
BTC、ドミナンスは…
ただ、このところのBTCのドミナンスは低下中です。ドミナンスとは、暗号資産全体の時価総額に対する一(いち)暗号資産・時価総額の割合です。
BTCのドミナンスは年初に57%前後だったところから、6月下旬には65%超まで拡大しました。7月前半にドミナンスは縮小し始めます。BTC価格が上昇していたにも関わらずです。直近では、BTCドミナンスは60%の手前まで縮まりました。
※Trading Viewより
クリプトウィークを通過
さて、米国では7月14日から18日が「Crypto Week(暗号週間)」と呼ばれ、議会で暗号資産関連の重要な法案が審議・採決されました。大きくは3つの法案があり、それぞれの簡単な説明と審議・採決の状況を記載します。
1、CLARITY Act(デジタル資産市場構造の明確化法案)
・デジタル資産の規制に関する明確なルールを確立し、どのデジタル資産が証券に分類され、どのデジタル資産が商品に分類されるかを明確にすることを目的としています。
・取引所の運用基準なども定義し、SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の間で規制権限を明確に分担することも含まれます。
・これにより、暗号資産企業はどの規制機関の管轄下にあるかを明確に理解しやすくなると期待されています。
17日、米下院本会議で超党派により賛成多数で可決。今後は上院で審議される予定ですが、さらなる修正や議論が予想されています。
2、GENIUS Act (ステーブルコインの包括的監視法案)**
・包括的なステーブルコインの監督体制を確立することを目的とした法案です。
・ステーブルコインの発行者に対し、1対1の資産担保、強固な資本基準、透明性基準を満たすことを義務付け、連邦政府による監督を導入しま
・これにより、ステーブルコインが法的に認められた、完全に担保されたデジタル通貨として扱われるようになります。
6月に上院で可決し、17日に下院で可決されました。翌18日にトランプ米大統領が署名し、正式に成立・施行。
3、Anti-CBDC Surveillance State Act (中央銀行デジタル通貨監視国家防止法案)
・ 政府による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を禁止することを目的とした法案です。
・プライバシーの懸念を理由に、連邦準備制度が中央銀行デジタル通貨を発行することを阻止。
・政府が市民の金融取引を監視・追跡し、潜在的に制御することを可能にする可能性があると主張されています。
17日、米下院で僅差で可決されました。今後は上院での審議が控えています。
国の立法府で暗号資産の法案提出、議論、採決まで積極的に行う米国。トランプ大統領の横暴さだけを取り上げるのではなく、見習うところはかなり多そうです。