【市場趨勢指標でみる株式市場~評価損益率】

市場趨勢指標とは?

「市場趨勢指標」とは、市場全体の投資環境を判断する指標です。前回までは、株価上昇局面や株価下落局面での市場趨勢の考え方について解説しました。


市場趨勢指標の代表的なものには、評価損益率、騰落レシオ、新高値-新安値指数、MA上位銘柄比率、騰落出来高などがありますが、今回はその中でもっとも馴染みのある「評価損益率」について簡単に解説します。


評価損益率

評価損益率とは、信用取引の未決済建玉の合計評価損益がどのくらいかを推計したものです。市場全体の過熱感をはかる指標として日本では古くから注目されています。


計算方式は割愛しますが、原則として東京証券取引所が毎週公表している「信用取引残高」の数値をベースに、日本経済新聞社が算出し公表しています。


株式市場全体が活況になると上昇銘柄が増加します。信用取引で買い建てられた銘柄の価格が買い値を上回り、評価益が増加すると、評価損益率は好転します。


逆に、株式市場全体が衰退すると下降銘柄が増加します。信用取引で買い建てられた銘柄の価格が買い値を下回り、評価損が増えると、評価損益率は悪化します。


図表のように、評価損益率は、-20~-5%程度で推移することが多く、プラス値は滅多にありません。これは現物決済の金額が評価損益率に反映されないためともいわれています。


株価指数の天底を判断する

評価損益率は日経平均やTOPIXの推移と連動しています。評価損益率が上昇して-5%に近づく場合、あるいは-5%を上回って0に接近すると、市場では買い意欲は強いものの過熱感があり、相場が天井を打って反落する時期が近いと判断します。


逆に、評価損益率が-20%に近づく場合、あるいは-20%を下回ってくると、市場では買い意欲は極端に減退しており、相場が底入れして反騰に転じる時期が近いと判断できます。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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