BTC、最高値更新も…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2025年8月19日20時頃、対円では1710万円前後と前週(7日前)比で約3%低い水準で取引されています。BTCドルが11万5500ドル台と上値の重い動きです。
8月14日早朝、BTC円は買いの勢いが強まり、それまでの最高値1800万円を超えました。同日9時頃には1825万円まで、史上最高値を更新。BTCドルも1カ月前に記録した12万3200ドル台を上抜けて、過去最高値12万4500ドル台を記録しました。
※Trading Viewより
この上げは、BTCへの変わらぬ資金流入に加えて、それまで堅調だったイーサリアム(ETH)の更なる上げ幅拡大や、カルダノ(ADA)の急騰にも後押しされました。
「グレースケール、カルダノETF申請」ビットタイムズ
世界最大のデジタル資産運用会社であるグレースケールは、デラウェア州で「グレースケール・カルダノ・トラストETF」を登録しました。この後、現物カルダノETFの承認確立が大きく上昇したことで、ADAが5カ月ぶりの水準まで上昇しました。
※Trading Viewより
下落のきっかけは、財務長官が…
最高値を更新したBTC相場ですが、そこから失速します。きっかけは、世界最大のBTC保有国である米国の要人発言でした。
「米財務長官、BTC追加購入を否定…」コインテレグラフ
米政府の戦略的準備金のビットコイン組み入れについて、ベッセント米財務長官が「押収したBTC資産のみを活用」との見解を示しました。市場が期待していた政府による追加購入を財務長官が否定したことで、ロングの投げが誘発されました。
その後、ベッセント長官は自身のXで「財政赤字を増やさない予算中立の方法でビットコインを取得する方法を探す」と投稿。しかしながら、こちらに対しては市場の反応は限定的でした。
※ベッセント米財務長官のX投稿
ETH上昇_1、企業が財務資産に…
時価総額2位のイーサリアム(ETH)は足元では上昇が一服しています。ETH円は64万円を割り込んだ7日前比では小幅高、 70万4000円前後の最高値からだと9%超の下落率です。しかしながら、年初来の騰落率は約29%高と、23%高のBTCをアウトパフォームしています。
ETHは7月初めからだと、一時2倍近くまで価格を上げてきました。
この夏のイーサリアムの強さを説明するうえで、企業・機関投資家の存在は外せません。たとえばビットマイン・イマーション・テクノロジーズは110万ETH超、シャープリンク・ゲーミングは72万ETH弱をそれぞれ財務資産として保有しています。単なる数字以上に「企業のバランスシートにETHが並ぶ」という事実そのものが、市場心理を後押ししました。
さらに、米国の現物イーサリアムETFについて、1日の流入額が7億ドルを超える場面もありました。7月だけでも54億ドル超の資金流入を記録しています。資産運用大手ブラックロックはETF流通量の約5%を吸い上げています。これらが示すのは、イーサリアム(ETH)が投機的なコインではなく「資産クラス」として定着しつつあるという流れです。その安心感が個人投資家をも巻き込み、価格の上昇をさらに加速させました。
ETH上昇_2、クジラによる集中的な…
機関投資家と並んで存在感を示したのが、いわゆるクジラたちです。オンチェーンデータによれば、7月以降に20超の大口アドレスが68万ETH以上を追加で取得しました。これに加えて、新しく現れた14のウォレットがわずか数週間で85万ETHを抱え込むなど、規模の大きな資金移動が相次いでいます。
また「取引所からの流出」という事実があり、市場に出回る流動性は確実に減っていきました。1万ETH以上を保有するウォレットは1100を超え、年初から顕著に増加しています。クジラの買いは「大きな資金が動いている」というメッセージそのものです。その存在感が市場全体に波及し、個人投資家の追随を誘う好循環を生みました。
ETH上昇_ 3,GENIUS Actによる…
そして、忘れてはならないのが政策面での追い風です。7月、米国で成立したGENIUS Act(ジーニアス法)はステーブルコインの発行ルールを初めて明文化しました。裏付け資産の要件や利用者保護の枠組みが整い、もし発行体に問題が起きても投資家資金が守られる仕組みが制度的に担保されました。
主要なステーブルコインの大半はイーサリアム上で発行されているため、この法案はイーサリアム・ネットワーク全体の信頼を押し上げました。
単なる「規制強化」ではなく、「安心して使える枠組みの提供」として受け止められた点が重要です。制度の裏付けがあることで、新規参入者にとっても「投機的な暗号資産」から「信頼できるインフラ」へと見え方が変わり、ETHの需要を一段と広げる結果となりました。
機関マネーの流入、クジラの買い増し、そして規制による安心感。7月から8月にかけてのイーサリアム上昇は、この三つの要素が同時に重なり合ったことで説得力を持つ動きとなりました。