エンベロープとは?
相場の売られ過ぎや買われ過ぎを捉えるテクニカル手法にエンベロープがあります。価格と移動平均線を描いたチャートに加え、移動平均線に対して上下に一定の乖離率で線を描き、バンド(帯域)のようにみえるチャートです。移動平均線乖離率バンドともいえるでしょう。
価格の習性を狙った逆張り投資手法
上昇・下降トレンドやボックスなどの保ち合い相場でも、価格は上下動を繰り返しながら推移します。この時、価格推移の上限や下限の目途が分かれば便利です。例えば、株価の動きは、移動平均線に対して一定の乖離率のレンジ内で推移することが多いため、過去の傾向から想定されるバンドを突破した水準、あるいはバンドに近づいたところをメドに、逆張り戦略の手法として活用することができます。
主観が極力排除できる
テクニカル分析手法にトレンドライン分析がありますが、線の起点や通過点の選び方でいろいろな角度の線が引けるため、主観が入りやすいといわれます。一方、移動平均や移動回帰値は、機械的に計算されるため主観が入りづらいといえます。エンベロープは乖離率の選択によってバンドの幅が変わるため主観の入る余地はありますが、極力排除することが可能です。
使い方は至ってシンプル
一般的には、価格がエンベロープの上限に達したら、価格は買われ過ぎでまもなく反落すると判断し、売りサインとします。逆に、価格がエンベロープの下限に達したら、価格は売られ過ぎでまもなく反発すると判断し、買いサインとします。
トレンドの強弱、変化も併せて分析することが必要
図表は、日経平均株価の日足のエンベロープです。25日移動平均線の傾きの絶対値が小さい(トレンドが弱い)今年4月頃までの保ち合い相場では、上限や下限での転換点を捉えやすかったといえます。一方、エンベロープは移動平均線と同じ傾きで上下することから、移動平均線の傾きが大きい(トレンドが強い)今年5月中旬以降では、株価はエンベロープの上限ラインに張り付きながら、上値を切り上げたことがわかります。
そういった特性からも、エンベロープは移動平均線に対する乖離率のバンドを視覚的に捉える面で優れていますが、乖離率だけではなくトレンドの強弱や変化も併せて分析することが必要でしょう。
【参考】NPO法人日本テクニカルアナリスト協会テキスト