7月はダウ、S&P500、ナスダック総合がそろって大幅反発
7月の米国市場では、ダウ平均が6.7%高、S&P500が9.1%高とともに大幅反発し、ナスダック総合は12.3%高と4カ月ぶりの大幅反発となりました。
上半期にナスダック総合指数が22.4%下落するなど、主要3指数がそろって大幅安となったことで下半期の反発期待が高まる中、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が想定内の内容だったことや、過度な景気後退懸念が和らいだことで上旬から買い戻しが優勢となりました。
米2年債利回りが米10年債利回りを上回る逆イールド状態が続いたことで将来の景気後退(リセッション)懸念が強まる中、6月消費者物価指数(CPI)が約41年ぶりの高い伸びとなったことで、インフレ高進懸念が高まったことや、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げによる景気悪化懸念から売りが優勢となる場面もありました。
しかし、中旬からスタートした第2四半期決算が総じて良好な結果となったことや、ドル高進行の一服、米長期金利の低下などを受けてセンチメントが改善しました。
27日に結果が公表されたFOMCでは6月に続いて政策金利が0.75%引き上げられましたが、懸念された1.00%の利上げでなかったことや、パウエルFRB議長が今後の利上げペースの減速の可能性に言及したこと、4-6月期GDP速報値が2期連続でマイナスとなり、大幅利上げ見通しが後退したことに加え、ハイテク・ジャイアントのアマゾン、アップル、マイクロソフト、アルファベットが好決算を発表し大きく上昇したことも相場を押し上げました。
主要3指数は月末にかけて上昇幅を拡大し、月間上昇率はダウ平均とS&P500が2020年11月以来の大きさとなり、ナスダック総合は2020年4月以来の大幅高となりました。
2Q決算発表は総じて市場予想を上回る
中旬からスタートした第2四半期決算発表は、S&P500採用の半分以上の261銘柄が発表を終え、多くの銘柄が減益決算となりましたが、77%の201銘柄で調整後一株当たり利益がアナリストの予想を上回りました。
決算が好感されたエンフェーズ・エナジー、エッツィ、ユナイテッド・レンタルズ、テスラ、フォード・モーター、ニューコアが月間で30%以上急騰したほか、ネットフリックスは動画ストリーミング会員数が予想ほど減少しなかったことが好感され28.6%高となり、アマゾン・ドット・コムはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や広告収入が好調で売上高と調整後一株当たり利益が市場予想を上回ったことで27.1%上昇しました。
iPhone販売が好調で、売上高と調整後の一株当たり利益が市場予想を上回ったアップルも18.9%高となり、マイクロソフトとアルファベットもそれぞれ9.3%高、6.8%高となりました。
一方、決算が市場予想を下回ったニューモントが24.1%安と急落し、決算や弱い見通しが嫌気されたベーカー・ヒューズ、AT&Tも2桁安となりました。
セクター別では一般消費財を筆頭にS&P500の全11セクターが上昇
7月はS&P500の全11セクターが上昇しました。好決算発表が相次いだ一般消費財、ITが2桁高となり、エネルギー、資本財もS&P500(+9.1%)をアウトパフォームしました。一方、生活必需品、ヘルスケア、公益のディフェンシブ・セクターや、決算を受けて通信株が軒並み下落したコミュニケーションが月間騰落率の下位に並びました。
年初来ではトップのエネルギーが上昇率を41.6%高に拡大し、公益も3.3%高とプラス圏に浮上しました。一方、コミュニケーションが28.0%安、一般消費財が20.4%安、ITが17.4%安とハイテク株の比率が高いセクターが騰落率の下位に並びました。
ダウ平均採用銘柄はアップルが上昇率トップ 下落率トップはベライゾン
ダウ平均採用銘柄は7月月間で23銘柄が上昇し、7銘柄が下落しました。
好決算を発表したアップルが18.9%高と上昇率トップとなり、737Max機の運航再開見通しや好調な受注が好感されたボーイングも16.5%高となったほか、シェブロン、ナイキ、ウォルト・ディズニー、ゴールドマン・サックス、セールスフォース、アメリカン・エキスプレスも月間で2桁高となりました。
一方、決算や見通しが嫌気されたベライゾンが9.0%安、IBMが7.4%安となり、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やインテルも業績見通しが嫌気され2%超下落しました。