ハイテク・ジャイアントの決算は好悪まちまち アルファベットはクラウドが予想に届かず

先週はダウ平均、S&P500が2週続落、ナスダック総合は3週続落


先週の米国市場では、先週はダウ平均が2.14%安、S&P500が2.53%安とともに2週続落し、ナスダック総合は2.62%安と3週続落となりました。


週前半は米10年債利回りが低下したことや、予想を上回る決算発表を追い風にハイテク株を中心におおむね堅調に推移しましたが、その後は決算が嫌気されたアルファベットやメタ・プラットフォームズが大幅安となったことや、米10年債利回りが再び上昇に転じたこと、中東情勢の悪化などが重しとなりハイテク株を中心に大きく反落しました。

週末金曜日は好決算を発表したアマゾン・ドット・コムやインテルが大幅高となり、ナスダック総合が3日ぶりに反発しましたが、ダウ平均とS&P500は3日続落し、ダウ平均は3月28日以来の低水準となりました。

ナスダック総合は水曜日に高値から10%以上下落し「調整相場」入りとなりました。S&P500も金曜日に2022年9月以来の「調整相場」入りとなりました。


10月月初来ではダウ平均が3.25%安、S&P500が3.98%安、ナスダック総合が4.36%安とそろって3カ月続落ペースとなり、S&P500とナスダック総合は2018年10月以来の大幅安ペースとなりました。


ハイテク・ジャイアントの決算は好悪まちまち


発表がピークを迎えた第3四半期決算は、先週はS&P500採用の160銘柄が発表し、そのうち79%の127銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。


予想を上回る第3四半期決算や好調な第4四半期見通しが好感されたアマゾン・ドット・コムが週間で2.05%高となったほか、コカ・コーラとマイクロソフトも予想を上回る決算が好感され、週間で1%前後上昇しました。


一方、決算が嫌気されたシェブロンが13.47%安と急落し、アルファベットは決算が予想を上回ったものの、クラウド収入が予想を下回ったことが嫌気され9.90%安と大幅に下落しました。メタ・プラットフォームズも予想を上回る決算を発表しましたが、メタバース部門の損失が続いたことや、第4四半期の広告収入の減少見通しが嫌気され3.86%安となりました。


アマゾン・ドット・コムは予想を上回る決算や好調な4Q見通しを好感


アマゾン・ドット・コムが10月26日引け後に発表した2023年第3四半期(7-9月)決算は、売上高が前年同期比12.6%増の1430億8300万ドルとなり市場予想の1414億600万ドルを上回りました。純利益が5.5倍の98億7900万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は0.94ドルと市場予想の0.58ドルを大きく上回りました。


クラウド・サービスなどを提供するアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上高は231億ドルとなり、市場予想の232億ドルをわずかに下回りましたが、広告収入は121億ドルとなり、市場予想の116億ドルを上回りました。


第4四半期については、売上高見通しを1600億~1670億ドルとし、中央値の1635億は市場予想の1660億ドルを下回りました。

しかし、コンファレンス・コールでは9月にいくつものクラウド・サービス契約が決まり、第4四半期の業績に反映されるとしました。


株価は27日の取引で前日比8.17ドル高(+6.83%)の127.74ドルで終了。週間では2.05%高となり年初来では52.07%高となりました。



マイクロソフトは予想を上回る7-9月期決算を好感


マイクロソフトが10月24日引け後に発表した2024年度第1四半期(7-9月)決算は、売上高が前年同期比13%増の565億1700万ドルとなり市場予想の545億2200万ドルを上回りました。純利益が同27%増の222億9100万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は2.99ドルと市場予想の2.65ドルを上回りました。


アジュール・クラウド部門の収入が29%増と好調だったほか、営業経費の伸びが鈍化したことも利益を押し上げました。


株価は25日の取引で前日比10.14ドル高(+3.07%)の340.67ドルで終了。週間では0.96%高となり年初来では37.52%高となりました。




アルファベットはクラウド収入が予想を下回る


インターネット検索大手グーグルの親会社のアルファベットが24日引け後に発表した2023年第3四半期決算は、売上高が前年同期比11%増の766億9300万ドルとなり市場予想の759億7100万ドルを上回りました。純利益が同42%増の196億8900万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.55ドルと市場予想の1.45ドルを上回りました。


ユーチューブの広告収入は79億5000万ドルとなり、市場予想の78億1000万ドルを上回った一方、グーグル・クラウド収入は84億1000万ドルとなり、市場予想の86億4000万ドルを下回りました。


株価は25日の取引で前日比13.20ドル安(-9.51%)の125.61ドルで終了。週間では9.90%安となり、年初来では38.47%高となりました。



メタ・プラットフォームズはメタバース部門の赤字を嫌気


メタ・プラットフォームズが25日引け後に発表した2023年第3四半期決算は、売上高が前年同期比23.2%増の341億4600万ドルとなり市場予想の335億6200万ドルを上回りました。純利益が同2.6倍の115億8300万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は4.39ドルと市場予想の3.63ドルを大きく上回りました。


部門別ではメタバース部門のリアリティ・ラボ部門が37億4200万ドルの損失と、前年同期の36億7200万ドルの損失に続いて赤字となりました。


今後については、最高財務責任者(CFO)が第4四半期に広告収入が落ち込む可能性があるとしました。


株価は26日の取引で前日比11.18ドル安(-3.73%)の288.35ドルで終了。週間では3.86%安となり、年初来では146.58%高となりました。





国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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