GMが上場来高値を更新 2026年も好調か

先週はダウ平均が3週続伸した一方、ナスダック総合が3週ぶりに反落


先週の米国株式市場ではダウ平均が503.06ドル高(+1.05%)と3週続伸した一方、ナスダック総合が1.62%安と3週ぶりに反落しました。


水曜日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通りに政策金利が0.25%引き下げられたほか、メンバーの金利見通し(ドットプロット)で来年1回の利下げ見通しが示されたことで、利下げ期待を背景に景気敏感株やバリュー株物色が強まりました。

一方で、オラクルの決算発表をきっかけにバリュエーションの高さが懸念されたAI関連株への利益確定売りが強まりました。


ダウ平均は木曜日に1カ月ぶりに取引時間中と終値の史上最高値を更新し、景気敏感株が多い小型株指数のラッセル2000も9日から11日まで3日連続で取引時間中の史上最高値を更新しましたが、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が3.58%安と3週ぶりの大幅反落となりました。

 


S&P500採用の68銘柄が52週高値を更新


AI関連株などグロース株からバリュー株への資金ローテーションが強まる中、先週はS&P500採用の68銘柄が52週高値を更新しました。


セクター別の52週高値更新銘柄数は、金融が19銘柄と最も多く、資本財の15銘柄、ITの11銘柄、一般消費財の8銘柄がそれに次ぎました。


52週高値更新銘柄数が最も多い金融では、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、アメリカン・エキスプレスなどが52週高値を更新し、ゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴ、アメリカン・エキスプレスが週間で3%超上昇し、バンク・オブ・アメリカ、シティグループも2%超上昇しました。

年初来上昇率は、シティグループが58.83%高、ゴールドマン・サックスが55.07%高、モルガン・スタンレーが41.91%高、ウェルズ・ファーゴが32.06%高となり、バンク・オブ・アメリカ、アメリカン・エキスプレスも20%超の上昇となりました。


52週高値更新銘柄数が2位の資本財では、キャタピラー、CSX、デルタ航空、GEベルノバ、サウスウエスト航空、パーカー・ハネフィンなどが52週高値を更新し、GEベルノバは週間で6.40%高、年初来では104.21%高となりました。


3位のITでは、アナログ・デバイセズ、アプライド・マテリアルズ、ブロードコム、シスコ・システムズ、ラム・リサーチ、マイクロン・テクノロジー、シーゲイト・テクノロジー、ウエスタン・デジタルなどが52週高値を更新し、ウエスタン・デジタルは週間で4.41%高、年初来で291.36%高となりました。

ブロードコムも52週高値を更新しましたが、決算発表を受けた利益確定売りが強まり、週間で7.77%安、年初来で55.25%高となりました。


4位の一般消費財では、ダラー・ツリー、ゼネラル・モーターズ(GM)、ラルフローレン、ロス・ストアーズ、TJX、タペストリーなどが52週高値を更新し、GMは週間で6.36%高、年初来で51.85%高となりました。

ダラー・ツリーも週間で6.07%高、年初来で73.30%高となり、タペストリーは週間で5.94%高、年初来で88.60%高となりました


ゼネラル・モーターズが上場来高値を更新 2026年も好調か


52週高値を更新し、年初来で51.85%高となったゼネラル・モーターズ(GM)は今年4月に付けた52週安値からは94.21%高と、8カ月間で株価がほぼ2倍になりました。


トランプ米大統領が「相互関税」を発表し、メキシコやカナダで生産し米国に輸入される自動車にも関税を課すとしたことで、関税による業績悪化懸念から株価は4月9日に41.65ドルまで下落し、年初来で21.81%安となりました。


GMが10月21日に発表した2025年第3四半期(7-9月)決算は、売上高が前年同期比2.2%減の477億200万ドルとなりました市場予想の439億2700万ドルを上回りました。純利益も同19.6%減の26億9400万ドルとなりましたが、調整後の一株当たり利益(EPS)は2.80ドルと市場予想の2.31ドルを上回りました。2025年通期の予想については、売上高が1850億5100万ドル、純利益が97億5100万ドル、調整後EPSが10.25ドルと、それぞれ2024年通期の1874億4200万ドル、119億6300万ドル、10.60ドルから減少する見通しですが、減収率が1.28%、調整後EPS減益率が3.30%にとどまる見通しです。


2026年は生産の現地化が進むことで関税の影響が薄れることや、EV生産能力拡大路線の転換を背景にEV向け設備投資の減少が見込まれることも収益の押し上げ要因になると期待されています。


週明け15日の取引でも株価は一時、前日比1.13ドル高(+1.39%)の82.02ドルまで上昇し、1.09ドル高(+1.35%)の81.98ドルで終了。5日連続で上場来高値を更新し、年初来では53.90%高となりました。




 


国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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