インフルエンザ患者数の増加が例年よりも早い
厚生労働省は11月6日、第43週(10月23日-29日)におけるインフルエンザの全国の患者報告数が10週連続で増加したと公表しました。
全国の定点医療機関当たりの第3週の患者報告数は前週比19.9%増の19.68人となり、3週連続で注意報の基準値(10.0人)を上回りました。
例年では12月から翌年3月にかけて流行しますが、今年は8月下旬から増え始めています。
東京都内にあるクリニックの院長の話では、10月のインフルエンザの患者数は650人を上回り、例年の1月~3月のピーク以上の人数に達したとのことでした。20年以上診察を行ってきたなかで、1カ月にこれほど多くの患者が出たのは初めてと話しています。
また今年は予防接種が本格的に開始される前に感染が拡大しており、小中学校では学級閉鎖が相次いでいます。
患者数の大幅増の一因として、コロナ禍の3年間でインフルエンザが流行しなかったことで抗体を持っている人が減少しているとの見方がなされています。
抗インフルエンザ薬の販売増が予想される
11月も引き続き患者数が大幅に増加した場合、インフルエンザ関連銘柄が注目される可能性が高まりそうです。
まずは抗インフルエンザ薬の販売増が見込まれます。
抗インフルエンザ薬といえば、中外製薬(4519)の「タミフル」が有名ですが、それ以外にも塩野義製薬(4507)の「ゾフルーザ」や富士フイルムホールディングス(4901)の「アビガン」などがあります。
タミフルは1日2回、5日間飲む必要がありますが、ゾフルーザは1回の内服で完結します。
ただしゾフルーザに関して、小児を中心に耐性ウイルスが出現する可能性があるため、服用は12歳以上の方が良いとされています。
抗インフルエンザ薬のみならず、検査薬の需要も増加する公算が大きい。
栄研化学(4549)では鳥インフルエンザやインフルエンザA型の検査薬を製造しており、多くの病院で使用されているという臨床実績があります。
その他には、カイノス(4556)でもインフルエンザウイルスを検出する試薬を製造しています。
感染予防の観点からマスクの需要が増加
感染予防の観点から、再びマスクの需要が増加することが予想されます。
コロナ禍明け以降、常にマスクを着用する人は減少していましたが、再びマスク着用に対する意識が高まることが予想されます。
実際に電車内など人混みが多いところでは、マスクを着用している人が増えているように思われます。
マスク関連銘柄としては、新型コロナウイルス感染が拡大する局面で注目が集まった川本産業(3604)のほか、ウイルス対策用マスク「フルテクトマスク」を製造するシキボウ(3109)、ハイラックneoを製造する興研(7963)などが挙げられます。
マスクに加え、うがい薬やハンドソープなどが感染予防の対策製品となります。
お子様のいるファミリー層を中心に、これらをまとめて購入する動きが広がるとみられます。
そうしたことから、これらの対策製品をまとめて購入できるマツキヨココカラ&カンパニー(3088)、ウエルシアホールディングス(3141)など、ドラッグストア関連の売り上げの増加が見込まれ、業績拡大につながりそうです。
インフルエンザの猛威に対する警戒が強まるなか、普段からマスクの着用や手洗い・うがいなどの感染予防対策の徹底、早めの予防接種で感染防止に努めましょう。