アパレル業界の老舗ブランド「三陽商会」と、ジュエリーブランドで有名な「ヨンドシーホールディングス(4℃)」は、配当利回りの高さと株主優待の充実ぶりから、個人投資家の注目を集めています。しかし、そんな2つの企業に「やばい」という噂が絶えないことをご存知でしょうか。
今回はこの2銘柄について、「やばい」と噂の真相や、配当利回り・株主優待内容・権利確定日などを徹底解説します。
三陽商会(8011)
三陽商会は、1943年に設立された老舗のアパレルメーカーです。「BLUE LABEL」や「Paul Stuart」など様々なブランドを展開しており、企画から生産・販売まで一貫して自社で行っています。
2025年度の売上高は約610億円、経常利益は約28億円でした。2026年度は売上高が約630億円、経常利益は約33億円となる予想です。どちらもやや増収・増益となる見込みですが、2023年度以降、売上高・経常利益ともにほぼ横ばいとなっています。
三陽商会がやばい理由はライセンス契約終了
三陽商会は、自社ブランドの運営の他、海外ブランドとのライセンス契約事業も行っています。しかし、2015年に目玉ブランドの「バーバリー」とのライセンス契約が終了し、それに伴い売上高が激減しました。
コロナ禍も相まって6期連続で赤字経営が続き、「バーバリーがないとやばい」との声がありましたが、2022年度以降は自社ブランドの運営が軌道に乗り、業績は回復傾向にあります。
三陽商会の株価
2025年7月時点の株価は約2900円です。2007年まで約11000円前後だった株価は、2010年には約3000円まで下落しました。さらにその後も、小さな株価変動を繰り返しながら下落傾向が続き、2020年には約500円の底値を記録しています。しかし、2022年半ば頃から上昇し始め、2024年以降は約3000円前後まで回復しています。
株主優待の優待セールはいつ?
三陽商会の株主優待は、毎年2月末と8月末の権利確定日に、100株以上保有する株主に対して、株主優待セールの入場券とオンラインストアの期間限定20%割引券が贈呈されます。
株主優待セールが行われる日程は、2月末の権利確定日分は4月頃、8月末の権利確定日分は11月頃です。また、2025年2月の権利確定日に贈呈されたオンラインストアの割引券は、4月・5月・6月の各月に、それぞれ20日間の利用期間が設定され、すべての期間でそれぞれ1回ずつ利用できました。
配当金は連続増配中
2026年度の配当金は、8月末の中間配当で69円、2月末の期末配当で70円の、合わせて年間1株当たり139円となる予想です。この金額は、2022年度の無配当、2023年度の55円、2024年度の88円、2025年度の129円から4期連続で増配されています。
三陽商会の利回り
1株2900円で100株購入した場合、投資金額は29万円になります。配当金額は年間1株当たり139円のため13900円となり、配当利回りは約4.8%です。各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2023年度は約5.4%、2024年度は約4.2%、2025年度は約4.9%でした。
ヨンドシーホールディングス(8008)
ヨンドシーホールディングス(以下、4℃)は、「4℃」や「Canal4℃」などの有名ジュエリーブランドを規格から製造・販売まで一貫して自社で行っている企業です。百貨店で取り扱われる高級ジュエリー販売の他、デイリーファッションブランド「パレット」などを展開するアパレル業も展開しています。
2025年度の売上高は約460億円、経常利益は約24億円でした。2026年度は売上高が約660億円、経常利益は約32億円となる予想です。近年、売上高・経常利益ともにほぼ横ばいとなっていましたが、2026年度はどちらも増収・増益となる見込みです。
4℃がやばい理由はダサいから?!
4℃のジュエリーには「ダサい」との評判があるのをご存知の方もいるかもしれません。実は、4℃には比較的お手頃価格で可愛らしいデザインの「Canal4℃」というブランドがあります。5000円程度の商品も多く10代から20代前半をターゲットとしており、ハート型や三日月型モチーフの商品が人気です。
この「Canal4℃」の可愛らしいデザインが「4℃」のブランドイメージとして定着してしまい、大人の女性に贈るジュエリーとして「4℃」はダサいとの評判につながったのだと推測されます。しかし、「4℃」や「4℃BRIDAL」などのブランドは、シンプルで洗練された大人の女性向けのデザインが多く、一概に「ダサい」とは言えないブランドです。
4℃の株価
2025年7月時点の株価は約1700円です。2012年まで約900円前後だった株価は、2015年には約3000円まで上昇しました。2015年から2019年の約5年間は、約1900円から約3200円の間で何度も株価変動を繰り返しています。しかし、2020年に約1700円まで下落して以降は、ほぼ横ばいの推移が続いています。
株主優待は選択可能
4℃の株主優待は、毎年2月末の権利確定日に、100株以上保有する株主に対して、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、商品券やクオカード、自社商品などから選択可能です。株式の保有数に応じた贈呈内容は、下記の一覧表をご確認ください。
配当金は連続増配中
2026年度の配当金は、8月末の中間配当で41.5円、2月末の期末配当で41.5円の、合わせて年間1株当たり83円となる予想です。この金額は、2022年度以降、4期連続で同じ金額が維持されています。
4℃の利回り
1株1700円で100株購入した場合、投資金額は17万円になります。配当金額は年間1株当たり83円のため8300円となり、配当利回りは約4.9%です。各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2022年度は約4.6%、2023年度は約4.8%、2024年度と2025年度は約4.4%でした。
まとめ
「やばい」と噂される真相は、三陽商会は「バーバリーとの契約終了」、4℃は「ブランドイメージの低下」です。しかし、どちらも業績は回復傾向にあり、高配当で株主優待ももらえる魅力的な銘柄です。
配当利回り重視の投資家にとっては、今後の動向次第で大きなリターンが見込める銘柄なので、ぜひ投資先の1つとして検討してみてはいかがでしょうか?