2024年に入り、少額投資非課税制度(NISA)がリニューアルされました。新NISAでは、日本に住む18歳以上の人は、同じ金融機関内で「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方を利用できます。旧制度の「つみたてNISA」と「一般NISA」は、どちらか1つしか利用できませんでした。
「つみたて投資枠」の投資対象商品は、旧制度の「つみたてNISA」をほぼ踏襲。一方、旧制度の「一般NISA」を基本にする「成長投資枠」は、要件が厳しくなりました。長期投資に適した運用商品でなければ対象にはなりません。1月4日時点で成長投資枠の対象になっている投信について、全体像をまとめてみました。
成長投資枠の投信は1,807本、ETFとJ-REITが285本
新NISA成長投資枠の対象となる要件は、長期投資に適した運用です。具体的には、下記のように定められています。
●上場株式等について、証券取引所から整理銘柄に指定されているものなどを除く
●一定のデリバティブ取引などで運用されているものを除く
●公募株式投資信託について、信託契約期間を定めていないか、20年以上としていること
●公募株式投資信託について、収益の分配は毎月でなく、かつ、決算期ごとに決定すると定められているものに限る
各運用会社は、これらの要件を満たす公募株式投信を成長投資枠の対象商品として、一般社団法人投資信託協会に届け出ます。投信協会は、2023年中に数回、これらを取りまとめて公表してきました。1月4日時点で買付可能な本数は、12月19日公表分までで公募株式投信が1,807本、上場投資信託(ETF)・上場不動産投資信託(J-REIT)が合わせて285本、合計2,092本です。
投信協会の「投資信託概況」によると、公募株式投信の本数はETFを含めて5,898本。成長投資枠の対象投信は、全体の約3分の1ほどです。
対象の投信は、投信協会のWEBサイトから、最新の一覧表をダウンロードして見ることができます(Excelファイル)。すでに後日買付可能になる投信もアップされており、今後も届け出る投信があれば、対象の本数は増えていきます。
つみたて投資枠投信の約9割が、成長投資枠でも買付可能
成長投資枠の対象で、つみたて投資枠でも購入できる公募株式投信は245本、ETFとJ-REITは7本です【グラフ1】。
金融庁が旧制度の「つみたてNISA対象投信」として2023年12月21日に公表している本数は、公募株式投信が266本、ETFが8本。これらを基に計算すると、つみたて投資枠対象投信の約9割が、新NISAの成長投資枠でも買付可能といえます。
成長投資枠は、まとまった資金での買付けのみならず、積立投資も可能です。つみたて投資枠の上限である年間120万円以上を積み立てたい場合、成長投資枠を使った積立投資もできるのです。この場合、成長投資枠の投信が対象になりますので、つみたて投資枠の対象商品にこだわることなく、商品選択の幅が広がります。
インデックスファンドは、成長投資枠のうち約3割
「長期投資といえば、インデックスファンドの積立」「NISAをするならインデックスファンドで」といったムードが高まっています。そこで、成長投資枠対象の投信について、インデックスファンドの本数を調べてみました。
1月4日時点で買付可能な成長投資枠対象の公募株式投信のうち、インデックスファンドは約3分の1にあたる534本です【グラフ2】。
アクティブファンドは、「インデックスを上回る値動きを目指す運用」と説明されることが多いのですが、厳密には違います。アクティブファンドは、「インデックスファンドでない投信です。つまり、「特定のインデックスに連動する投信ではない投信」がアクティブファンドの正しい定義なのです。
「非インデックスファンド」は、市場全体や市場平均に連動する運用と違い、コンセプトに基づいた、信念のある運用をしている投信です。目論見書を丁寧に読んでみてください。成長投資枠の7割を占める「非インデックスファンド」。あなたが「ぜひ投資したい」と思えるような、意思のある運用をしている投信に出会えるかもしれませんよ。