8月は金融市場に衝撃の事象が多い
過去の8月を振り返ると、地政学リスクに加え、アジア通貨危機、パリバショック、中国人民元切り下げ、米国債の格下げショックなど、世界の株式市場をはじめ金融市場全般に衝撃を与える事象が多かった月といえます。
夏休みシーズンで取引は閑散
一方、8月に入ると、株式市場では「夏枯れ相場」という言葉をよく耳にします。
夏場になると、海外の投資家の長期休暇、日本国内でもお盆時期の前後で休暇をとることが多く、株式市場や為替市場の取引参加者は減少します。
衝撃の事象は毎年発生するわけではありません。通常は、国内企業の決算発表なども一巡することで材料が少なくなり、出来高も減少、変動の小さな閑散相場になりやすいといえます。
日経平均の値動きは小さい
2011年~2021年までの11年間の日経平均株価の値動きをみると、月別の変動率(絶対値)では1年のうち、7月が2.3%と最も小さく、次いで6月の2.7%、1月の3.4%、8月の3.7%と続きます。
このように、6月~8月は年間の中でも相対的に変動が小さい時期になってきたわけす。
9月からは変動が大きくなる?
1年間でいちばん変動率が大きいのは11月の5.4%で、次いで2月の5.0%、10月の4.3%、9月の4.2%と続きます。
つまり、9月から年末に向けては徐々に変動率が大きくなっていく傾向が読み取れます。
ただ、変動率を絶対値でみただけでは、相場の方向性はつかめません。ある月に5%上昇しても、翌月に5%下落すれば、投資金額は目減ります。逆に、ある月に2%しか変動しない月でも、翌月以降も小幅に連続して上昇するような相場であれば収益は安定します。
8月は投資月として最適
そこで、アベノミクス相場で本格的に上昇が始まった2013年~2021年までの日経平均株価の年間推移をみたものが以下のグラフです。前年末を100とした指数化グラフです。
2013年~2021年までの全期間の平均(オレンジの線)をみると、6月~8月はほぼ横ばいで推移しています。7月は比較的しっかりですが、8月は下落する傾向があります。
しかし、8月は同時に、年末に向けた上昇への起点になってきたことにも気づきます。特に、2018年~2021年までの直近4年間(薄いグレーの線)では、9月の上昇率が極端に大きくなっていることがわかります。
つまり、8月は年間を通じて株の「仕込み場(投資のタイミング)」になってきました。当然、相場ゆえに失敗した年もありますが、過去の長い傾向からは8月は投資月として最適といえるでしょう。