2024年も3分の1が終わりそうです。時が流れるのは早いですね。今年は辰年ということで、相場格言は「辰巳天井」です。辰年は株価が上がりやすいと言われていますが、その通り今年は日経平均株価がバブル時の高値を更新し、40000円を超えました。
パッと見では投資家はみんな儲かっていそう!と感じますが、意外とそうでもないようです。日経平均は上がるけれど、自分の持っている株は上がらない。今に始まったことではなく、多くの人がそのような経験をしているのではないでしょうか。
自分だけ儲かっていない?
個人投資家というと、大まかには我々のような一般人のことをさします。何の銘柄を選ぶか?というと、誰もが知っている会社、配当金が多い、株主優待が魅力的、ベンチャー企業など、選ぶ基準は人それぞれです。配当株をコツコツ貯めていく、株主優待がたくさんほしいなど、投資方針が明確な人もいるでしょう。
ただ、そういった長期的な目線の投資家だけではありません。その日だけ、数日だけといった短期トレードを好む人もいます。そういった人たちは値動きが比較的大きい銘柄を好む傾向にあるので、規模の小さい会社(小型株)がその対象となりやすいです。
個人投資家の売買が中心である東証グロースという市場がありますが、その市場の代表指数(東証グロース市場250指数)を年始から見てみると以下のようになります。
※対象期間は2024年1月4日~4月22日 終値基準
上のチャートをみると、日経平均は年始よりもまだ高い水準にありますが、東証グロース市場250指数はマイナスです。要は、年始よりも今の方が安い小型株が多いということです。
地上波のニュースでは日経平均株価が上がった下がったしか説明はありませんので、相場が上がっていると言われているのに、儲かっていないという人が多いのはどういうこと?という疑問に対する答えは、小型株で損をしている可能性が高いということです。
これまでの推移
2024年はさえない推移の東証グロース市場250指数ですが、算出当初からはどのような推移だったのでしょうか。ちなみに当時は東証マザーズ指数と呼ばれており、市場再編に伴って2023年11月6日から東証グロース市場250指数に名称変更されました。
気になる推移は↓
なんと、算出が開始された2003年からしばらくは2000ポイントを上回る期間がありました。今の水準からは考えられない高さですね。この動き、思い当たる節があります。新規上場した銘柄が少しのあいだ人気化し、人気がなくなって株価が下落。少し戻してくるが上場直後の高値には届かない。そのような動きに似ているような気がします。
グロース市場の銘柄が上がるには
上場したばかりの会社は、将来の成長に向けて先行投資するパターンがよくあります。先行投資をしている時期だと、売り上げが伸びたとしても、積極的な採用や広告宣伝費、設備投資などの費用が重くなり、利益は減少しやすくなります。
前述のとおり小型株市場には短期で値上がりを求める投資家が多く、大幅増益や上方修正を期待して買う人も多いです。期待外れの内容だったらすぐ売られてしまいますし、売りたい人が殺到して10%を超える下落やストップ安なども日常茶飯事。
また、信用取引と言って、レバレッジをかけて大きな利益を狙う人もいます。制度信用取引の場合は期日までに必ず決済しないといけないので、買われた分(買い残)が多いほど将来の売り圧力が大きいということになります。信用取引の場合は暴落すると追証(追加で証拠金を入れる)のリスクも出てくるため、いくらでもいいから売るという人もいるでしょう。
上記の説明は一例ですが、このように売りたい人が多い・将来の売り圧力が大きい状態のことを「需給が悪い」と表現します。現状、小型株市場は需給の悪い状況が続いており、株価が多少上昇してくると、やっと上がってきた!もう売ろう!という人が多い状態です。需給が悪いと株価は安値を更新する動きになりやすく、常に誰かがやれやれ売りを待っているという負のスパイラルに陥ります。
需給の悪い状況を抜けられるかは投資家次第・・・ではありますが、会社側の発表でも状況は変わります。力強い利益成長を続ける、株主還元に力を入れる、魅力的なIRなど、この会社を長く保有してみてもいいかなと思う投資家が増えることで、需給も改善しやすくなります。一朝一夕でどうにかなるものではありませんが、小型株に投資する際は、特に需給状況を注視して銘柄を選んでいきたいですね。
基本的に競争を勝ち抜いて会社規模が大きくなると、東証プライムや東証スタンダードなど、次のステップに進みます。一方でグロース市場には、成長が止まるどころか赤字続きにより資金繰りに苦しむ会社も多く存在します。
調べてみると、各市場の赤字銘柄は上のグラフのようになりました。赤字比率は東証プライム:22%、東証スタンダード:16%、東証グロース:30%です。多少の誤差はあるかもしれませんので、ご容赦ください。
※直近決算期が基準 2024年4月25日時点
赤字が続けば上場廃止や倒産の可能性がありますが、そういったリスクの大きい銘柄が足並みそろえて持ち直すのは考えづらいですよね。不安要素を多く抱えた市場であることを踏まえれば、株価が大化けする企業はあるとしても、指数は構造的に上がりづらいのかもしれません。