時価総額レースはテスラが一人負け

先週は主要3指数がそろって下落 ダウ平均は昨年3月以来の大幅安


先週の米国市場ではダウ平均が2.27%安、S&P500も0.95%安とともに3週ぶりに反落し、ナスダック総合は0.80%安と2週続落となりました。

ダウ平均の下落率は昨年3月以来の大きさとなりました。


第1四半期はダウ平均が5.62%高、ナスダック総合が9.11%高となり、S&P500は10.16%高と第1四半期としては2019年の13.07%高以来の大幅高となりました。


しかし、第2四半期入りした先週は、前週末にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が利下げを急ぐ必要がないと発言したほか、ボスティック米アトランタ連銀総裁が利下げは10-12月に1回のみとの見方を示し、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が、インフレが長引くなら利下げが不要かもしれないと発言したことで利下げ期待が後退しました。


中東の地政学リスクの高まりを背景にNY原油先物が週間で4.5%上昇し、昨年10月以来の水準まで上昇したこともインフレ長期化懸念を強めました。


米10年債利回りは前週末の4.19%台から3日に一時4.42%台と昨年11月以来の水準まで上昇し、4.37%台で週の取引を終えました。


注目された金曜日発表の米3月雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を大きく上回り、失業率も前月比横ばい予想に反発して低下するなど総じて強い結果となりましたが、ダウ平均が前日まで4日続落したことや、企業業績の向上期待などを背景に主要3指数がそろって上昇しました。


しかし、週間では3指数ともにマイナス圏で取引を終了。ダウ平均は3月28日に付けた終値の過去最高値から2.27%安となり、S&P500とナスダック総合も終値の最高値から0.95%安、1.10%安となりました。

 


マグニフィセント7は高安まちまち 時価総額レースでテスラが一人負け


主要3指数がそろって下落する中、マグニフィセント7と呼ばれるハイテク・ジャイアントの株価は高安まちまちでした。


メタ・プラットフォームズが週間で8.60%高と大幅反発し、再び上場来高値を更新したほか、アマゾン・ドット・コムが2.60%高と3週続伸、マイクロソフトが1.14%高と反発、アルファベットも1.0%高と4週続伸し、ともに上場来高値の更新が続きました。


一方、アップルが1.11%安と3週続落し、エヌビディアも2.60%安と2週続落。テスラは6.19%安と3週ぶりの大幅反落となりました。


マグニフィセント7の年初からの時価総額レースでは、テスラの一人負けとなっています。


時価総額上位陣はマイクロソフトが3兆ドル台で首位を独走し、アップルは3兆ドルを割り込んだものの、2位をキープしています。エヌビディアは年初の1兆2000億ドル台から一時2兆3000億ドル台に時価総額を拡大し、アマゾン、アルファベットを抜き、3位に躍り出ました。メタ・プラットフォームズは年初の8800億ドル台から1兆3400億ドル台まで時価総額が増加し、6位の座を維持しました。


一方、2021年に1兆3000億ドルを上回ったテスラの時価総額は2024年年初に791億ドルに減少し、先週末時点では525億ドルまで減少。上位6銘柄との差は大きく拡大しました。

バークシャー・ハサウェイ(9050億ドル)、イーライリリー(7460億ドル)、ブロードコム(6210億ドル)、JPモルガン・チェース(5690億ドル)、ビザ(5570億ドル)にも抜かれ、時価総額ランキングは12位に低下しました。

 


テスラの株価は予想を下回る10-12月期決算や、値下げ、1-3月期の販売減で年初来で30%超下落


テスラの株価は1月24日引け後に発表された2023年4四半期(10-12月)決算が売上高、利益ともに市場予想を下回ったことや、中国製EVの競争激化を背景に主力車種を値下げしたこと、1-3月期の出荷台数が前年同期比8.5%減の38万6810台となったことなどが嫌気され年初から下落が続きました。


先週末時点での年初来下落率は33.64%となり、S&P500の下落率トップとなりました。


週明け8日の取引ではイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が今年8月にロボタクシーを発表するとXに投稿したことが好感され、株価は前日比4.90%高の172.98ドルで終了。年初来では30.38%安となりました。






国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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