当コラムでは「IG証券」のデモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。「IG証券」は「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。
ドル円、上値が重い1週間
今週のドル円は上値が重い展開となりました。週明け23日は米国によるイラン空爆を受けて中東情勢の一段の悪化に警戒感が広がる中、「有事のドル買い」が先行。一時148.03円と5月13日以来の高値を付けました。ただ、148円台での滞空時間は短く、米早期利下げ観測の高まりなどを背景に、次第にドル売りが優勢となりました。その日のNY時間にボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と発言したことをきっかけに、米長期金利が低下しドル売りを誘った格好です。
また、「イランはカタールの米軍基地に向けてミサイル6発を発射した」との報道が伝わるとリスク・オフの動きが見られましたが、イランによる報復攻撃が限定的だったことから反応は一時的に。カタール政府は「イランのミサイル攻撃の迎撃に成功した」と発表したほか、「イランは米軍基地攻撃を巡り、事前にカタールに通知していた」とも伝わっており、その後は原油安・米株高・ドル安の様相が強まりました。
結局、中東情勢を巡る懸念が後退したことや米利下げ観測の高まりを背景に、週後半もドル安が進み、ドル円は143.75円まで下落する場面がありました。なお、ユーロドルは週末27日に一時1.1753ドルと2021年9月以来約3年9カ月ぶりの高値を付けています。
*Trading Viewより
また、今週の重要イベントであったパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言では、「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」「インフレ率は予想ほど強くない可能性がある」との見解が示されました。市場では「パウエルFRB議長の証言中、金融市場では米債利回りが低下し、ドルが下落。年内少なくとも2回の利下げに対する織り込みがやや強まった」との声が聞かれています。
なお、パウエルFRB議長は「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を圧迫する可能性が高い」「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況にある」と従来の考えも強調。利下げを急がない方針を改めて示しています。また、質疑応答では「関税政策のインフレへの影響は6月と7月のデータに出始めるだろう」「データは関税の少なくとも一部が消費者に打撃を与えることを示唆」との考えを示したほか、為替については「ドルは長期にわたって準備通貨であり続ける」「ドル下落のシナリオは時期尚早」などと話しています。
米株式相場は堅調 S&P500・ナスダックは史上最高値
今週の米株式市場ではダウ工業株30種平均が2月28日以来約4カ月ぶりの高値を更新しています。また、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は5日続伸し、史上最高値で取引を終え、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新しています。
今週発表の米経済指標がインフレ圧力の鈍化を示す内容となり、FRBが年内に利下げするとの見方が改めて意識され、相場を押し上げました。中東情勢を巡る懸念が後退したことや、米貿易交渉の進展を期待した買いも入りました。市場では「関心が関税から銀行の規制緩和やエネルギー政策に移っており、期待が高まっている」との指摘もありました。
*Trading Viewより
なお、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは27日、中国商務省が国営メディアを通じて発表した声明で、米国へのレアアース(希土類)輸出を承認する内容が含まれていたと報じています。米政権は相互関税の上乗せ部分の猶予期間を7月上旬から延長する可能性もにじませており、ベッセント米財務長官は「交渉が先行する国以外でもレーバーデー(9月1日)までに終わらせる」との方針を示しています。
投機筋の円買いポジション、やや増加も
米商品先物取引委員会(CFTC)が6月27日(日本時間28日早朝)に発表した6月24日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は13万2277枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から1400枚増加しました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。これ以降はその動きが一服となっており、少しずつですが、円買いポジションの縮小が続いています。ただ、いまだ13万枚を超える円買いポジションであり、依然として高い水準にあると言えます。今後、「ポジションの巻き戻し」が始まるかどうかに注目が集まります。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、薄い雲を週末の終値(144.65円)で再び下抜けています。27日取引終了時点では雲の上限(145.55円)、下限(144.86円)、転換線(145.89円)、基準線(145.07円)となっており、全て下抜けています。結局、5月12日の高値148.65円に届かず、148円台での滞空時間も短かったため、来週以降はテクニカル的にも売りが出やすいと想定されます。現在のポジションであるドル円ロング@144.235円を切るかどうかの瀬戸際にきています。
*Trading Viewより
【免責事項・注意事項】
本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。