6月は関税相場から地政学相場に
第148回「この後の6月の重要スケジュールを知らずにやってはいけない」
でも記載しましたが、6月には様々なイベントがありました。
また、一大イベントの一つでもあった先進国首脳会議(G7)サミット時にはイスラエルがイランを攻撃するなど、予想外の出来事も起こっています。
市場も関税相場だけではなく、地政学リスクを見ての取引にになったわけです。
この地政学相場も、これまでとは違い、リスク回避の円買いではなく、有事のドル買いに動くなど異例の相場になりました。
7月は再び米国に相場の焦点が集まる
イスラエルとイランの争いが今後はどのような展開を迎えるかということは、読み解くのが難しい状況です。
仮に再び攻撃が開始された場合に、今月のように有事のドル買いでドル円が上昇するのか、またはリスク回避の円買いに動くかも定かではありません。
特に、米国がどの程度戦争に参入するかも不透明です。
米国が参入した場合は、9000万人のイラン国民が米国に向けて報復攻撃をする可能性すらあるでしょう。
読み解けない中東情勢を置いておいた場合でも、7月の上旬は大きく相場が動く可能性があります。
特に米国発で2つの大きなイベントが控えています。
その中で、おそらく世界中が注目しているのが7月9日に米国の相互関税の上乗せ分の停止期限です。
中東情勢でサミットでの話し合いも中途半端で終わったこともあり、各国ともに交渉があまり進んでいません。
そのような状況であることで、トランプ米大統領はやはりTACOになっているようです。
TACOは「Trump Always Chickens Out(トランプはいつもビビってやめる)」という略語ですが、先週ベッセント米財務長官は9月初旬のレイバーデイまで関税賦課期限を延期する可能性を示唆しています。
7月9日よりも前にある大きなイベント
関税問題が延期になったとしても、非常に重要なイベントが控えています。
それは、米国では下院で可決された「大きく美しい法案(big, beautiful bill)」の上院での審議です。
同法案を7月4日の独立記念日までに可決をしようと、トランプ大統領は動いています。
下院で可決した通りの法案が上院でも通過した場合は、歳出削減規模が縮まり、財政赤字がさらに拡大することになります。
下院で可決されたときは、米債売りから米トリプル安を引き起こしています。
再び同様の動きになるリスクもあるでしょう。
6月もイベントリスクが高い月でしたが、7月上旬も大相場になることを覚悟しないでやってはいけないでしょう。