上場企業で約2年ぶり破産
上場している企業が倒産したら、その株はどうなるかご存じですか?株にあまり詳しくない方でも予想は付くかと思いますが、基本的にその株に価値はなくなり、売買もできなくなります。
今回は約2年ぶりに上場企業の倒産による上場廃止が起きたことから、それをご紹介したいと思います。
上場廃止となったのは東証スタンダード市場に上場するテラ。同社は8月5日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けました。上場企業の倒産は、2020年9月のNuts以来、1年11カ月ぶりとなります。コロナが猛威を振るっていた時期は、実は上場企業の倒産というのは出ていなかったというのも意外な印象がありますね。
帝国データバンクによれば、テラは2004年6月に設立。2009年3月にジャスダック市場に上場しました。上場直後は業績期待などから株価は4000円台まで上昇することもありましたが、研究開発費用の負担が重く、業績は赤字が常態化。株価もその後、100円台まで低迷します。
しかし、コロナ禍の2020年に、新型コロナの治療法に関して臨床試験を開始したと発表。その後も、メキシコでコロナ治療法を確立し、現地で薬事法の承認を取得したなど、次々と情報を開示しました。
上記は同社の週足チャートです。2020年に同社株価は新型コロナ治療への期待から短期間で100円台から2000円台まで20倍超上昇。株式市場でも大きな話題となりました。しかしその後、発表には事実と異なる内容が含まれていたことが明らかになったことから、東京証券取引所は同社株式を特設注意市場銘柄に指定。株価も右肩下がりの展開となります。
さらには主要取引先との取引停止などを受け、業績改善も見込めなくなったことから会社は破産手続きを開始。上場廃止が決まりました。ただ、上場廃止が発表されたその日から突然価値がゼロになるわけではありません。まずは取引所が何日後に上場廃止になりますとアナウンスがあり、それまでに間は整理ポストに割り当てることになります。この間は市場で売買することが可能です。
上のチャートは同社の直近の日足チャートです。同社の株価は破産手続き開始の発表翌日にストップ安となる水準でも、売りたい人が多すぎて取引時間中に値段が付かない自体に陥りました。結局、8月15日の段階では10円付近まで下落しています。同社株式は8月23日に上場廃止となることが決まっていますので、価格はここからさらに0円に近付いていくものと思われます。
株を買う際には、このように破産して価値がなくなってしまうような企業の株を買わないよう、決算やニュースなどさまざまな情報をチェックしましょう。そうすることで運用リスクを抑えることができます。