メタプラネットが時価総額1兆円超え 第2の「メタプラ」探しが活発に

メタプラネット<3350.T>の時価総額が1兆円を超えたことが市場で話題となっています。6月16日に同社は追加でビットコインを購入したことを発表。同日の株価は前日比26%高の1895円まで上昇しました。これにより時価総額は1兆1384億円と1兆円超えを果たしたわけです。


それにしても時価総額の増え方が尋常ではありません。もちろんそれは株価の上昇もあってのことですが、同社の場合、また違った要因があります。


同社は新株予約権を発行し、それで調達した資金をもとにビットコインを購入する戦略をとっています。その影響から新株予約権行使による新株発行に伴い発行済み株式数が急速に増加しています。


直近の決算短信である2024年12月期1Q(1-3月)末時点では、発行済み株式数は4億5990万6340株でした。そこから、2025年5月20日に開示した新株予約権の行使状況に関する資料にれば、開示前日時点での発行済み株式数は6億0071万4340株まで増加しています。


新株予約権については、6月6日に新株予約権による新たな大規模調達計画を発表しました。発表時点で調達額7000億円を超える規模とされ、大きな話題となったのは記憶に新しいところです。この発行分による潜在株式数は5億5000万株以上となります。


6月25日に同社が開示したところ、上記の新株予約権が行使可能となった6月24日に早速5400万株もの行使がなされ、同日時点における発行済み株式数は6億5471万4340株となりました。


現在の株価水準を維持しつつ、行使完了までこぎつければ1兆円どころか時価総額2兆円も現実的な水準となるでしょう。非常に夢のある話で、それだけに株式市場では次の夢を見るための第2のメタプラ探しが活発となっています。


メタプラネット日足チャート



まず思いつくのは、既にビットコインの購入を始めている企業や、計画を示している企業。これらに関してはかなり物色されています。そのため出遅れの候補になっているのが、まだ企業から開示はされていないけれども、これからビットコインを購入しそうな企業です。


次に購入しそうと言っても何も手がかりがないと思われそうですが、ここで注目されているのが「EVOFUND」という投資ファンドです。ケイマン諸島に本社を置いており、「メタプラ」の新株予約権の割当先となっています。


そのEVOFUNDはメタプラネットと同じくビットコインの購入を実施しているリミックスポイント<3825.T>や、購入の方針を示したマックハウス<7603.T>も新株予約権を引き受けています。そのため、EVOFUNDが新株予約権を引き受けている企業から、次のビットコインストラテジー戦略を発表する企業が現れるのではないか、との思惑が生まれているのです。


マックハウス日足チャート




セキド日足チャート


こうした理由から、6月にメタプラが大規模調達計画を発表して以降、株式市場ではenish<3667.T>、セキド<9878.T>などの銘柄が動意付く場面がありました。enishは直近発行分については5月29日に行使完了の開示が出ていますが、それでも6月18日には一時ストップ高を付けています。


ある種のお祭りでもあり、こうした物色が長続きするかどうかはわかりませんが、市場の注目度が高まっていることの証左とは言えるでしょう。次のメタプラ銘柄が登場するのか、そしてメタプラの株価が今後どう推移するのか注目したいと思います。




日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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