運用会社のfundnote(東京都港区)は著名個人投資家の井村俊哉氏が投資助言を行う公募投資信託「匠(たくみ)のファンド kaihou(かいほう)」の6月分月次レポートを公開しました。
「匠のファンド kaihou」は、市場では正式な名称とは別に「井村ファンド」とも呼ばれており、非常に注目度の高い投資信託の一つです。
さて、6月は日経平均株価が2522円(6.6%)高となるなど、全体地合いが好調だった月でした。特に半導体関連銘柄の上昇が指数を牽引し、月末にかけて上げ幅を拡大しました。
そんななかで井村ファンドのパフォーマンスはどうだったかというと基準価額は11486円。前月比で299円(2.7%)高となりました。設定来では14.9%の上昇です。
日経平均の上昇に比べると、やや物足りない印象と言えるかもしれません。これは前述したように指数の上昇を牽引したのが主に半導体関連だったことが要因でしょう。
そうした寄与度の高い銘柄がポートフォリオにない場合、指数の上昇に比べると劣後しやすくなります。また、6月は野村証券が新規設定した投信である「野村ハイベータ日本株2506」が当初設定額1500億円を集め、話題となりました。ハイベータ株では当然値動きの大きい半導体関連銘柄なども組み入れられることになりますので、こうした需給要因も一層日経平均の押し上げにつながったと指摘する声もあります。
多くのマーケット関係者がベンチマークとするTOPIXの上昇率は1.8%のプラスでしたので、そちらと比較すれば好調だったということもできるでしょう。
組み入れ上位10銘柄
組み入れ上位10銘柄については、5月末では組み入れ1位だった情報通信は変わらずですが、2位だった銀行が5位にまで低下。そのかわりに金属製品が2位となっています。これは大量保有報告も明らかになっている川田テクノロジーズ<3443.T>だと思われます。
続いて3位にも情報通信が入っています。こちらは5月のレポートでは5位に入っていた銘柄と推察されます。4位は卸売で変わらず。6位以下は建設、銀行、小売、建設、サービスで変わらずでした。
純資産額は283.8億円から290.7億円に増加。キャッシュ比率は0%から1.8%に増加しています。また、組み入れ銘柄が13銘柄から11銘柄に減少しており、2銘柄を売却した分、キャッシュは増加しているほか、既存銘柄への買い増しを行っているものと思われます。
7月8日には大末建設<1814.T>について変更報告書を提出しており、保有割合が10.82%から11.85%に増加したとしています。報告義務発生日は7月1日となっていますから、6月末時点でキャッシュとなっていた資金で同銘柄の買い増しを行ったのでしょう。
7月相場では、4-6月四半期が終了し、新たな四半期となったことでファンドや金融機関の一部に物色の変化が見られます。これまで堅調だったゲームやIP銘柄、また防衛銘柄などに利食い売りが散見されるなか、井村ファンドの基準価額は7月10日時点では11618円と、前述した6月末時点の11486円よりも上昇しており、堅調なパフォーマンスとなっているようです。今後の上昇にも期待が持てそうですね。