日々是売買~トレードへの道

第93回「参院選後も円安の流れは変わらずか!?」

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ドル円、底堅い展開

 

今週のドル円は底堅い展開となりました。トランプ米大統領が週末12日に欧州連合(EU)に8月1日から30%の関税を適用すると発表したことを受けて、ユーロ売り・ドル買いが強まると、円に対してもドル買いが先行しました。ただ、市場ではトランプ関税について「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもビビってやめる)と捉えている」との声が聞かれる中、ドル買いの勢いは長続きしませんでした。

 

もっとも、米労働省が15日発表した6月米消費者物価指数(CPI)ではインフレの抑制が示唆されたものの、関税の影響を巡る懸念は払拭されなかったことから、「米連邦準備理事会(FRB)は当面金利を据え置く」との観測が広がると、米長期金利の上昇とともにドル買いが活発化。ドル円はレジスタンスとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円を上抜けて、テクニカル的にも買いも入りやすい地合いとなりました。翌16日の東京市場では149.18円と4月3日以来の高値を付けています。

 

市場では「20日に投開票される参議院選挙を巡る不透明感も円売り・ドル買いを促している」との声が聞かれました。最新の世論調査では与党が過半数維持に向けて厳しい戦いとなっており、財政拡張を訴える野党との協調が必要になるとの見方から円売りが出ていたようです。

 

*Trading Viewより

 

なお、16日のNY市場に入ると「トランプ米大統領は共和党議員らとの会合でパウエルFRB議長の解任を打診した」との報道が相次いだほか、ホワイトハウス高官が「トランプ米大統領はパウエル氏を近く解任する可能性が高い」と述べたと伝わりました。FRBの独立性が損なわれ、金融政策の混乱につながるとの警戒から全般ドル売りが優勢となり、ドル円は146.92円まで急落する場面もありました。

 

ただ、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を解任する計画はない」「パウエル氏解任の可能性は極めて低い」などと述べ、一連の報道を否定すると一転買い戻しが優勢となり、17日のNY市場では149円台に再び乗せる場面がありました。なお、この「パウエルFRB議長解任騒動」について市場では「トランプ米大統領ばかりではなく、トランプ政権自体が既にTACO状態であることを確認。トップのTACO振りが指揮系統に浸透してしまっているなか、TACO最短記録(約1時間)を生むことになった」との声が聞かれました。

 

 

 

投機筋の円買いポジション、縮小が継続

 

米商品先物取引委員会(CFTC)が7月18日(日本時間19日早朝)に発表した7月15日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は10万3582枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から1万2573枚減少しました

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。これ以降はその動きが一服となっており、少しずつですが、円買いポジションの縮小が続いています。「ポジションの巻き戻し」の始まりとなっているのか、それとも「ポジション調整」の範囲内なのかに注目が集まるところです。いまだ10万枚を超える円買いポジションであり、依然として高い水準にあると言えます。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、ねじれている薄い雲を週末の終値(148.81円で明確に上抜けています。18日取引終了時点では雲の上限(144.65円)、下限(144.58円)、転換線(147.47円)、基準線(145.93円)となっており、全て上抜けています。また、これまでレジスタンスとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円も上抜けており、テクニカル的にも買いが入りやすい地合いです。

 

*Trading Viewより

 

ドル円は更なる重要なレジスタンスレベルである200日移動平均線が位置する149.71円が意識されていますが、「3月28日の高値151.21円や3月3日の高値151.30円もまた、念頭に入れておく必要がある」との声が聞かれています。

 

*IG証券より

 

なお、現在のポジションはドル円ロング@144.235円。一時はポジションを切るかどうかの瀬戸際にきていましたが、今では含み益が9万円を超えてきています。20日には参議院選挙が行われますが、市場では「与党が過半数割れとなる公算が大きいほか、ドルへの資金流入は当面継続しそうなため、参院選が終わっても円を売る構造は変わらない」との声が聞かれています。来週以降もこのまま利益を伸ばしたいところです。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第93回「参院選後も円安の流れは変わらずか!?」
第91回「ポジションを切るかどうかの瀬戸際」
第90回「ドル円、来週以降は買い増しを検討」
第89回「投機筋の円ロングポジション、縮小が続く」
第88回「投機筋の円ロングポジション、縮小」
第87回「ドル円、140円割れを目指す展開か!?」
第86回「米国『トリプルA』格付け失う 来週は為替協議の思惑も」
第85回「投機筋の円買いポジション、やや拡大 過去最大を更新」
第84回「投資家心理は改善 恐怖指数=VIXは順調に低下」
第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」
第82回「ドル円『1日の値幅は3円超』 売っても買ってもやられる相場」
第81回「虎の子だったはずのポジションが見事に粉砕」
第80回「円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力」
第79回「投機筋の円買いポジション、いよいよ巻き戻しスタートか!?」
第78回「来るか!?行き過ぎた『ポジションの偏り』の反動」
第77回「投機筋の円買い過去最大 行き過ぎた『ポジションの偏り』」
第76回「投機筋の円買いが過去最大に 偏り警戒160円超えを指摘する声も」
第75回「投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大」
第74回「投機筋の円買いポジション、5万4615枚に拡大」
第73回「ドル円、テクニカル的にも売りが出やすいか」
第72回「投機筋、ポジションはほぼフラットに」
第71回「28-29日のFOMC、利下げ見送りが濃厚」
第70回「日銀の追加利上げは織り込み済み」
第69回「ドル円は半年ぶり高値 ロングは維持したい」
第68回「やっぱり7月3日の高値161.95円突破を狙いたい」
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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