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ドル円、底堅い展開
今週のドル円は底堅い展開となりました。トランプ米大統領が週末12日に欧州連合(EU)に8月1日から30%の関税を適用すると発表したことを受けて、ユーロ売り・ドル買いが強まると、円に対してもドル買いが先行しました。ただ、市場ではトランプ関税について「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもビビってやめる)と捉えている」との声が聞かれる中、ドル買いの勢いは長続きしませんでした。
もっとも、米労働省が15日発表した6月米消費者物価指数(CPI)ではインフレの抑制が示唆されたものの、関税の影響を巡る懸念は払拭されなかったことから、「米連邦準備理事会(FRB)は当面金利を据え置く」との観測が広がると、米長期金利の上昇とともにドル買いが活発化。ドル円はレジスタンスとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円を上抜けて、テクニカル的にも買いも入りやすい地合いとなりました。翌16日の東京市場では149.18円と4月3日以来の高値を付けています。
市場では「20日に投開票される参議院選挙を巡る不透明感も円売り・ドル買いを促している」との声が聞かれました。最新の世論調査では与党が過半数維持に向けて厳しい戦いとなっており、財政拡張を訴える野党との協調が必要になるとの見方から円売りが出ていたようです。
*Trading Viewより
なお、16日のNY市場に入ると「トランプ米大統領は共和党議員らとの会合でパウエルFRB議長の解任を打診した」との報道が相次いだほか、ホワイトハウス高官が「トランプ米大統領はパウエル氏を近く解任する可能性が高い」と述べたと伝わりました。FRBの独立性が損なわれ、金融政策の混乱につながるとの警戒から全般ドル売りが優勢となり、ドル円は146.92円まで急落する場面もありました。
ただ、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を解任する計画はない」「パウエル氏解任の可能性は極めて低い」などと述べ、一連の報道を否定すると一転買い戻しが優勢となり、17日のNY市場では149円台に再び乗せる場面がありました。なお、この「パウエルFRB議長解任騒動」について市場では「トランプ米大統領ばかりではなく、トランプ政権自体が既にTACO状態であることを確認。トップのTACO振りが指揮系統に浸透してしまっているなか、TACO最短記録(約1時間)を生むことになった」との声が聞かれました。
投機筋の円買いポジション、縮小が継続
米商品先物取引委員会(CFTC)が7月18日(日本時間19日早朝)に発表した7月15日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は10万3582枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から1万2573枚減少しました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。これ以降はその動きが一服となっており、少しずつですが、円買いポジションの縮小が続いています。「ポジションの巻き戻し」の始まりとなっているのか、それとも「ポジション調整」の範囲内なのかに注目が集まるところです。いまだ10万枚を超える円買いポジションであり、依然として高い水準にあると言えます。
ドル円の一目均衡表チャートを見ると
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、ねじれている薄い雲を週末の終値(148.81円)で明確に上抜けています。18日取引終了時点では雲の上限(144.65円)、下限(144.58円)、転換線(147.47円)、基準線(145.93円)となっており、全て上抜けています。また、これまでレジスタンスとして意識されていた6月23日の高値148.03円や5月12日の高値148.65円も上抜けており、テクニカル的にも買いが入りやすい地合いです。
*Trading Viewより
ドル円は更なる重要なレジスタンスレベルである200日移動平均線が位置する149.71円が意識されていますが、「3月28日の高値151.21円や3月3日の高値151.30円もまた、念頭に入れておく必要がある」との声が聞かれています。
*IG証券より
なお、現在のポジションはドル円ロング@144.235円。一時はポジションを切るかどうかの瀬戸際にきていましたが、今では含み益が9万円を超えてきています。20日には参議院選挙が行われますが、市場では「与党が過半数割れとなる公算が大きいほか、ドルへの資金流入は当面継続しそうなため、参院選が終わっても円を売る構造は変わらない」との声が聞かれています。来週以降もこのまま利益を伸ばしたいところです。
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