IPOにおいて初値が公開価格を下回った(公開価格割れした)銘柄を、初値で買っていたら儲かるのかを検証してみます。今回は2018年を対象とします。
2018年の公開価格割れ銘柄は9社(上場廃止1社含む)
2018年に上場し公開価格割れとなった9銘柄(地方単独上場やリート、インフラファンドは除く)の上場時の株価と直近の株価(2024年8月8日の終値)を比較したいと思います。ただし、すでに上場廃止となったアルテリア・ネットワークス(4423)は除きますので、8社について、吸収資金の多い順にみていきます。
ソフトバンク(9434)吸収資金:2兆6460.9億円
「ソフトバンク」「ワイモバイル」を展開する通信会社であるソフトバンクは、2018年12月19日に東証1部に上場しました。
公開価格1500円に対し初値は1463円となり、公開価格割れ。足元の株価は1868.5円(8月8日終値)と初値に対し27.7%高となっています。
ワールド(3612) 吸収資金:536.3億円
総合アパレル大手のワールドは、2018年9月28日に東証1部に上場しました。
公開価格2900円に対し初値は2755円となり、公開価格割れ。足元の株価は1872円(8月8日の終値)と初値に対し32.1%安となっています。
キュービーネットホールディングス(6571) 吸収資金:253.2億円
低価格ヘアカット専門店「QBハウス」を全国展開するQBネットは、2018年3月23日に東証1部に上場しました。
公開価格2250円に対し初値は2115円となり、公開価格割れ。足元の株価は1316円(8月8日の終値)と初値に対し37.8%安となっています。
信和(3447)吸収資金:158.6億円
主に仮設資材、物流機器を中心とした金属製品の製造販売を行う信和は、2018年3月20日に東証2部に上場しました。
公開価格1150円に対し初値は1106円となり、公開価格割れ。足元の株価は711円(8月8日の終値)と初値に対し35.7%安となっています。
ACSL(上場時の商号:自律制御システム研究所)(6232) 吸収資金:101.0億円
商業用ドローンの製造販売および自律制御技術を用いた無人化・IoT化にかかるソリューションサービスの提供を行うACSLは、2018年12月21日に東証マザーズに上場しました。
公開価格3400円に対し初値は2830円となり、公開価格割れ。足元の株価は682円(8月8日終値)と初値に対し75.9%安となっています。
ナルミヤ・インターナショナル(9275) 吸収資金:93.4億円
ベビー・子供服の企画販売を行うナルミヤは、2018年9月6日に東証2部に上場しました。
公開価格1560円に対し初値は1501円となり、公開価格割れ。足元の株価は1219円(8月8日の終値)と初値に対し18.8%安となっています。
ポート(7047) 吸収資金:54.4億円
採用活動、エネルギーの成約支援を行うポートは、2018年12月21日に東証マザーズに上場しました。
公開価格1480円に対し初値は930円となり、公開価格割れ。足元の株価は1598円(8月8日終値)と初値に対し71.8%高となっています。
Delta-Fly Pharma(4598) 吸収資金:38.4億円
抗がん剤開発の創薬ベンチャーであるデルタフライは、2018年10月12日に東証マザーズに上場しました。
公開価格4770円に対し初値は4385円となり、公開価格割れ。足元の株価は510円(8月8日終値)と初値に対し88.4%安となっています。
まとめ
結果は2勝6敗となりました。まとめると以下となります。
今回の結果では、ソフトバンク以外の吸収額の大きい銘柄(100億円以上)はすべて公開価格割れとなっていますので、前回の結果から見出された「吸収金額が大きい銘柄は公開価格割れとなってもその後に株価が上昇する」という傾向は残念ながら読み取れませんでした。
そもそも上昇が2社しかないため、勝率からすれば「公開価格割れになった銘柄には手を出すべきではない」という結論になってしまいます。ただし、まだ2年分の結果しかありません。引き続き、公開価格割れ銘柄を初値で買っていたら儲かるのかを調査し、検証を進めていこうと思います。