先週は主要3指数がそろって大幅反発 ダウ平均、S&P500は最高値更新が射程圏

先週は主要3指数がそろって大幅反発 ダウ平均、S&P500は最高値更新が射程圏


先週の米国市場ではダウ平均が2.94%高と3週ぶりに大幅反発し、S&P500が3.93%高、ナスダック総合が5.29%高とともに5週ぶりに大幅反発となりました。週間上昇率は主要3指数がそろって2023年11月以来の大幅高となりました。


先週火曜日に発表された米7月生産者物価指数(PPI)が予想以上に鈍化したうえ、水曜日発表の米7月消費者物価指数(CPI)も前年比+2.9%と前月分や予想の+3.0%を下回り、2021年3月以来の水準まで低下しました。PPIやCPIの鈍化を受けて米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待が高まったことに加え、木曜日に発表された米7月小売売上高が予想以上に増加し、新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことで景気減速懸念が後退しセンチメントが大きく改善したことも株価の支援となりました。


投資家の不安心理を示すVIX指数はダウ平均が1000ドル超下落した8月5日に一時65ポイントを上回りましたが、週間では5.57ポイント低下し、14.80ポイントで終了。7月23日以来の低水準となった。


週明け19日の取引でも堅調が続きました。今週は金曜日にジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演が予定され、利下げを巡るパウエルFRB議長発言に注目が集まりますが、先週の7月PPI、7月CPIを受けたインフレ鈍化や景気減速懸念の後退を好感した先週の株高の流れが続きました。ダウ平均が236.77ドル高(+0.58%)と5日続伸したほか、S&P500が0.97%高、ナスダック総合が1.39%高と8日続伸し、ともに今年最大の長期連騰を記録しました。


ダウ平均は7月17日に付けた終値の最高値41198.08ドルまで301.55ドル(0.73%)に迫り、S&P500も7月16日の終値の最高値5667.20ポイントまで58.95ポイント(1.04%)に迫り、ともに最高値更新が射程圏内となりました。

 

ナスダック総合は8月5日安値から13.80%高の大幅反発


8月2日に発表された米7月雇用統計の悪化を受けて景気後退(リセッション)懸念が強まったことや、ヘッジファンドの「円キャリートレード」の巻き戻しでダウ平均は8月5日に1000ドル超下落し、S&P500も3.00%安と、ともに2022年9月以来の下落率を記録しました。


しかし、日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べたことで日経平均や円相場が落ち着き、「円キャリートレード」の巻き戻しへの警戒感が後退したことに加え、米国でもインフレ鈍化を示す指標や、経済の底堅さを示す指標が相次いだことで米国株は急反発となりました。


直近安値を付けた8月5日の取引時間中の安値から8月19日終値までの上昇率は、ダウ平均が6.23%高、S&P500が9.55%高となり、ナスダック総合は13.80%高の急反発となりました。


個別ではエヌビディアが約30%高と急反発


個別銘柄の8月5日から8月19日の反発力を終値ベースで見ると、半導体のエヌビディアが29.42%高となったほか、ライドシェアのウーバー・テクノロジーズが26.85%高、コーヒーチェーンのスターバックスが24.97%高、半導体のマイクロン・テクノロジーが20.14%高となりました。


このほかITセクターではブロードコム、KLA、アプライド・マテリアルズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ラム・リサーチ、アナログ・デバイセズ、アリスタ・ネットワークス、シスコ・システムズ、アドビが2桁高となり、コミュニケーション・セクターではネットフリックス、メタ・プラットフォームズが2桁高となりました。


一般消費財セクターでもナイキ、テスラ、アマゾン・ドット・コムが2桁高、金融セクターではアメリカン・エキスプレス、JPモルガン・チェース、シティグループ、モルガン・スタンレーが2桁高となり、ヘルスケア・セクターではイーライリリー、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、インテューイティブ・サージカルが2桁高となりました。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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