年が改まり、新NISA(少額投資非課税制度)の2年目を迎えました。1年前は華々しい「NISA祭り」の年明けでしたが、夏以降は乱高下に見舞われ、慌てた方も多かったのではないでしょうか。
金融庁では、3ヵ月に1度、「NISA口座の利用状況調査」をまとめています。先日、2024年9月末時点の調査結果が公表されましたので、その概要をお伝えしましょう。
NISA口座が2,500万口座を超えた
2024年9月末時点でNISA口座を取り扱っている調査対象の金融機関は、701法人。そのうちつみたて投資枠の取扱いは672法人です。NISA口座数は、2,508万口座になりました。
NISAの買付金額は、2024年初から9月末までで13兆7,932億円でした。内訳は、成長投資枠が10兆2,456億円、つみたて投資枠が3兆5,476億円です。これらは、買付時の時価の合計金額です。
旧制度の下での2023年の年間買付額は、一般NISAが3兆5,409億円、つみたてNISAが1兆6,972億円で、合計5兆2,381億円でした。今年は、 9ヵ月間で2023年の年間買付額の約2.6倍となっています。
2024年9月末までの推移
次は、新NISAになってからの状況を見ていきましょう。【グラフ1】は、3ヵ月ごとの集計時点における、2024年初からのNISA買付額と口座数の推移です。
2024年は、7月末から8月にかけて為替相場が一気に円高に振れ、株式市場も大きく崩れました。SNSや動画サイトなどでは、新NISAを機に投資を始めた人たちが慌てて投資信託などを解約していると騒いでいるようでした。しかし、このデータでは売却金額は分からないものの、少なくとも買付額で見るとNISA離れは確認できません。
むしろ、2024年前半よりも値下がりし、安く買える機会が得られたと考えて良いのではないでしょうか。
NISAの口座数は、2024年の9ヵ月間で383万口座の純増となりました。2023年の年間純増口座数は、2つの旧NISAを合わせて324万口座でしたから、9ヵ月で前年1年分を上回る増え方です。なお、2022年は、年間でも純増35万口座でした。
2023年12月末時点では、一般NISAが1,151万口座でつみたてNISAが972万口座、合計2,124万口座でした。2024年に新NISAがスタートして3月末までに約198万口座が増え、その後も3ヵ月ごとに約80万口座ずつ増えるペースが続きました。
成長投資枠の半分、つみたて投資枠の約9割が投資信託
【グラフ2】と【グラフ3】は、2024年9月末時点の商品別買付額の内訳です。
成長投資枠では、上場株式と投資信託がおおよそ半々です。つみたて投資枠は、9割近くをインデックス投信が占めています。これらの比率は、成長投資枠、つみたて投資枠ともに3月末からほとんど変わっていません。
成長投資枠の買付額は50歳代が最多、つみたて投資枠は40歳代が最多
最後は、成長投資枠とつみたて投資枠における年代別買付額を見てみましょう【グラフ4】。端数を四捨五入している関係で、各年代別比率の合計が100%にならない場合があります。
成長投資枠とつみたて投資枠の合計額は、30歳代から60歳までが2兆円を超えています。両方の枠の合計金額が最も多いのは50歳代で、2兆9,260億円です。
成長投資枠は50歳代、60歳代が多く、つみたて投資枠は40歳代、30歳代が多く買付けています。20歳代は、他の世代と比べると成長投資枠とつみたて投資枠との差が小さくなっています。これらの傾向も、商品別買付比率と同様、3月末時点からほとんど変化がありません。
新NISAは、以前から保有している証券を移管できず、新たな資金での買付けです。70歳代、80歳代の方々も、売却して買い替えているかもしれませんが、ある程度の買付をしていることが読み取れます。売却代金を預金等に移して投資をやめていく一方ではなく、NISA口座でも買付けをしています。
ご年配の方から「NISAは何歳までやれますか?」と聞かれることがあります。判断能力の衰えは個人差が大きいことでしょう。また、保有する金融資産全体の中で、いつでもおろすことができる預貯金がどの程度あるかによっても最適解は異なります。
このようなデータは全体の傾向を知ることができ、参考になりますが、ご自身がどのように投資に向き合うかは、ご自身の状況を踏まえて判断することが大切です。
【参考サイト】 金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」