先週は主要3指数がそろって大幅続落-パウエルFRB議長のタカ派発言を嫌気
先週の米国市場では、ダウ平均が4.2%安、S&P500が4.0%安、ナスダック総合が4.4%安となり、主要3指数がそろって大幅に2週続落しました。
週末26日の米カンザスシティー連銀経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がインフレ抑制に強い姿勢を示し、金融引き締め策の長期化見通しが強まったことで、利上げによる景気後退(リセッション)懸念も意識されリスク回避の流れが強まりました。
主要3指数は6月中旬を底に、8月中旬まで大きく反発しましたが、直近2週間でダウ平均が4.4%安、S&P500が5.2%安、ナスダック総合が6.9%安と急落したことで、再び6月安値を伺う展開となるとの見方も強まりました。
とりわけ、ハイテク株主体のナスダック総合については、利上げペースの減速や、将来の利上げ打ち止め・利下げ転換が上昇継続の必須条件と考えられていましたが、パウエルFRB議長の発言を受けてそれらの期待が大きく後退しました。
セクター別ではエネルギーが独り勝ち、ハイテク・セクターは軒並み大幅安
セクター別では、先週はS&P500の11セクターのうち、エネルギー1セクターが唯一上昇し、IT(情報技術)、コミュニケーション、一般消費財などの10セクターが下落しました。
唯一上昇したエネルギーは4.3%高と大幅に3週続伸し、年初来では48.9%高となりました。NY原油相場が週間で2.5%高と反発したことを追い風に、天然ガス探査・開発のAPAが11.1%高となったほか、マラソン・オイル、コノコ・フィリップス、シュルンベルジェなども6%超上昇しました。
一方、下落率の上位は、ITが5.6%安、コミュニケーションが4.8%安、一般消費財が4.7%安と、ハイテク株の比率が高いセクターがそろって大幅安。米10年債利回りが4週連続で上昇し、一時3.12%台と6月29日以来の水準まで上昇したことで、将来の利益の現在価値が減少する成長株に売りが強まりました。
ITではソフトウェア大手のアドビが10.4%安と急落したほか、決算が嫌気されたセールスフォースとエヌビディアもそれぞれ10.1%安、8.9%安、時価総額上位のマイクロソフトとアップルもそれぞれ6.3%安、4.6%安となりました。
コミュニケーションではツイッターが8.0%安、ネットフリックスが7.4%安となり、アルファベットも5.9%下落しました。
一般消費財では決算が嫌気されたダラー・ツリー、アドバンス・オート・パーツが16-17%安となり、アマゾン・ドット・コムも5.4%下落しました。
オキシデンタル・ペトロリアムが52週高値更新-バークシャー・ハサウェーの大量取得を好感
年初来で48.9%高と圧倒的な上昇率を記録しているエネルギー・セクターの中では、石油、天然ガスの探査・生産を手掛けるオキシデンタル・ペトロリアム(OXY)が年初来で153.7%高(2.5倍)と驚異的な値上がりとなりました。
原油相場の上昇を追い風に株価は年初から堅調に推移すると、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェーによる大量取得も好感されました。
バークシャーは今年3月以降、OXY株の保有比率を引き上げており、直近では発行済み株式の20.2%に当たる1億8850万株を保有していますが、バークシャーが申請した最大50%の取得について、米国連邦エネルギー規制委員会が8月19日に許可したことも好感されました。
バークシャーは2019年に発行された優先株を100億ドル保有し、一株当たり59.62ドルで8390万株を取得する権利(ワラント)も保有しており、市場ではバークシャーが将来OXY株の全株を取得するとの思惑も高まっています。