消費者態度指数(消費動向調査)から分かる消費者マインドとは?

消費者態度指数とは、消費者の暮らし向きに関する考え方の変化や物価の見通しなどが分かる「消費動向調査」のうち「暮らし向き」「収入の増え方」など今後半年間の見通しを基に算出する指標です。


2025年3月の消費者態度指数は、前月比で 0.7 ポイント低下し下落傾向にあります。

消費者態度指数を構成する意識指標では「資産価値」が、前月と比べ 2.4 ポイント低下しました。調査期間は4月の世界同時株安が起こる前ですが、消費者の予測が当たってしまう結果となりました。


消費者態度指数(消費動向調査)は景気の動きに先行して反応する「先行指数」と言われており、今後の消費者マインドを把握する上で重要な指標と言われています。

今回は、消費者態度指数(消費動向調査)とは何か消費者物価指数との違い、今後の消費者マインドはどうなるのか解説していきます。


消費者態度指数(消費動向調査)とは?消費者物価指数との違い

「消費動向調査」とは、消費者の暮らし向きに関する考え方の変化や物価の見通しなどを把握するものです。

モノやサービスの消費に関する調査としては「消費者物価指数」がよく知られていますが、消費者物価指数は景気に遅れて反応する「遅行指数」です。一方で、消費者態度指数は消費動向調査のうち今後半年間の見通しを基に算出する指標で、景気の動きに先行して反応する「先行指数」と言われています。


消費者態度指数は、先行きに対する消費者マインドが調査結果に反映されやすいという特徴があります。

早速、2025年3月の消費者態度指数を見ていきましょう。


2025年3月の消費者態度指数、消費者マインドは「足踏み」

2025年3月の消費者態度指数を構成する「消費者意識指標」は以下の通りです。

 

出典:内閣府「消費動向調査(月次)結果 最新の調査結果 (令和7(2025)年4月9日)」


景気後退期ほどではありませんが、「雇用環境」「暮らし向き」「耐久消費財の買い時判断」などいずれも下落傾向にあります。

なお「耐久消費財」とはスマートフォン・エアコン・冷蔵庫など長期にわたって使用される消費財を指します。

 

出典:内閣府「消費動向調査(月次)結果 最新の調査結果 (令和7(2025)年4月9日)」


3月に最も下落した数値は「資産価値」で、前月と比べ 2.4 ポイント低下しました。

日経平均株価とTOPIXは3月の中旬から下落傾向にあります。消費者の全てが株式や投資信託などの有価証券を保有しているわけではありませんが、先行指数である日経平均株価の下落による資産価値が減ったという回答が多くなったと予測されます。


 

出典:TradingView


調査基準日は3月15 日で、調査票回収期間は3月6日~21日でしたが4月はトランプ大統領の関税政策の影響で大幅に株価が下落したため消費者の予測は結果的に正しかったと言えます。

「耐久消費財の買い時判断」は 0.2 ポイント上昇しましたが「雇用環境」が1.7 ポイント低下、「収入の増え方」は 0.7 ポイント、「暮らし向き」が 0.6 ポイント低下しました。


加えて昨今インフレが進んでいますが、調査の「物価の見通し(2人以上の世帯)」における消費者の物価予想でも、「上昇する」と見込む割合が9割を超えています。

 

全体の消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)の推移は以下の通りです。

 

前月と比べると 0.7 ポイント低下し 34.1という結果となりました。


2025年4月上旬は、トランプ大統領の関税政策による不確実性で世界同時株安が起こりました。

トランプ大統領は4月9日に関税政策を発動しましたが、協議を要請する国などに対しては90日間措置を停止し交渉が行われています。17日には赤澤経済再生担当大臣が日米交渉に先立ちトランプ大統領と会談、 25日にはトランプ大統領が記者団「私は日本と非常によい関係にある。われわれは合意に非常に近い」と述べています。


しかし、関税停止の対象外である中国については「(具体的な対応をとらない限り)合計145%の追加関税を引き下げない」と明言したという記事があります。


株価は先行指数の代表的なものであり、不確実性が高まると不安定になる傾向にありますので関税政策について見通しが立っていない状況下では不安定な動きをすることが予測されます。


まとめ

2025年3月の消費動向調査では、資産価値が下落するという意識調査の結果が出ていましたが4月に株価が歴史的な乱高下を示し予測が当たる結果となってしまいました。


意識調査では「雇用環境」が1.7 ポイント「収入の増え方」は 0.7 ポイント、「暮らし向き」が 0.6 ポイント低下しています。今月はトランプ大統領の関税政策の影響でさらに激しい動きとなる可能性がありますので気になる方は動向を注視していきましょう。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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