日本の旧財閥と言えば「三井」「三菱」「住友」「安田」が挙げられますが、一番存在感があるのは、その中でも三菱系ではないでしょうか?三菱UFJ銀行や三菱商事、キリンビールなど有名企業がグループ会社になっています。今回は「三菱HCキャピタル」と「東京海上HD」をピックアップして、手堅い銘柄なのか検証していきたいと思います。
三菱HCキャピタル(8593)
三菱HCキャピタル株式会社は、その名の通り三菱グループの1つになり、2021年に日立キャピタルと三菱UFJリースが合併して誕生した会社になります。ファイナンス系のリースを中心に、工業用機械リースやその販売や買取、医院開業のサポートや債権回収など多岐に渡る事業を展開しています。三菱系だけでなく、日立グループ系の事業でも多くの案件を確保でき、安定収益が見込める企業となっています。
2023年8月現在の株価は約930円になっています。今期の年初は600円台中盤を推移していましたが、6月頃より急騰しています。現時点では中間決算の9月に向かって伸び続ける様子が伺える状態です。
三菱HCキャピタルの株主優待
2023年現在、残念ながら株主優待制度は行われていません。
三菱HCの利回り
配当金が受け取れる基準日は3月と9月の年2回です。前期の2022年度の9月の中間配当は15円、3月の期末配当は18円で年間33円となっていました。そして今期9月の中間配当は18円の予定になり、年間では37円になる見込みとなります。実現すれば2020年度(年間配当25円)から3期連続の増配となり、投資家に魅力的な要素となります。
例えば1株930円で100株購入した場合、投資資金は9.3万円ほど必要となり年間で受け取れる配当金は3700円になります。株主優待制度はないので、配当金による利回りは約4.0%になります。3%を超えると高配当と言われていますが、株価が高騰している現在の基準で4%はかなり投資対象としては大きなポイントではないでしょうか?
三菱HCキャピタルの株価が安い理由とは?いつ買うべき?
三菱HCキャピタルは、高配当で連続増配を行っていることで人気の銘柄ですが、なぜ株価は900円台と比較的安くなっているのでしょうか?これは発行株式数が多いことが理由となっており、その分流動性が高く私たち一般の株主でも購入しやすくなっています。
ではいつ買うのがいいのでしょうか?2023年8月現時点で株価は高騰していますが、9月の中間決算を目指しての上昇と予想されます。決算後は、株価は落ち込むことが一般的ではありますが、今期は大幅な最終利益増加を計画されています。3%上昇の過去最高の最終益を発表しており、2Qと3Qの四半期の発表によっては続伸する可能性も秘めています。
いずれにしても現時点では10万円以下で購入でき、4%の高利回りと更に長期保有で増配も期待できる銘柄なので、購入のタイミングを見極めながら検討してみてはいかがでしょうか?
東京海上HD(8766)
東京海上ホールディングス株式会社は「東京海上日動火災保険」や「東京海上日動あんしん生命」を子会社に持つ、国内最大の損害保険グループになります。三菱が発展した由来と言えば商船業が有名ですが、そこで取り扱われる船舶や貨物運送を対象にした海上保険業を起源とした企業になります。ちなみに表記もTOKIO MARINEとされていますが、現在は海上保険の売上構成比は全体3%未満になり、自動車保険が全体の約45%を占めています。
2023年8月現在の株価は約3000円になっています。前期の3月決算後は2600円台で推移し一時は3300円台まで順調に伸びてきました。しかしながらビッグモーターの問題発覚の影響もあり、現在は業界全体で少し下落傾向になっています。
東京海上HDの株主優待
2023年現在、こちらの銘柄も残念ながら株主優待制度は行われていません。
東京海上HDの利回り
配当金が受け取れる基準日は3月と9月の年2回です。前期の2022年度の9月の中間配当は150円、3月の期末配当は50円で年間250円となっていました。ただし、2022年は株価分割が行われたため、調整後の配当は年間100円の計算となっています。そして今期9月の中間配当は60.5円の予定になり、年間では121円と予想されています。
例えば1株3000円で100株を購入した場合、投資資金は30万円ほど必要となります。年間で受け取れる配当金は12100円となり、株主優待制度はないので、利回りは約4.0%になります。こちらも三菱HCキャピタルと同様に連続増配と3%を超える銘柄になっています。
東京海上HDの今後は?ビッグモーター問題の影響は?
現在、世間で注目を浴びている事と言えば、ビッグモーターによる保険問題です。損害保険ジャパン(SOMPOホールディングス)だけではなく、東京海上HDがどれほど関わっていたかによって株価や売上の影響が変わってきます。
現時点では具体的な内容は出ていませんが、ビッグモーター以外にも東京海上HDは、仙台国際空港との契約で事前協議していた疑いが持たれています。また損保大手4社が東急グループの保険でカルテル問題もあり、業界全体で様々な問題が露呈してきています。
今期は特に経常利益を49%の大幅増を計画し、過去最高益の更新を目指されていたことからも、今後の真相の内容によっては株価に影響を与えることになるかもしれません。
まとめ
今回は三菱グループで長期保有で高配当を目指せる2つの銘柄について解説しましたが、いかがだったでしょうか?利回りの点で長期保有の対象としては、両銘柄は「手堅い」と言えますが、三菱HCキャピタルは10万以下で購入でき、4%の高配当を狙える点からも初心者にも手が出しやすい銘柄になります。
一方、東京海上HDは6.6兆円を超える売上で、安定収益が見込まれますが、投資金額は30万円が必要となります。ただし昨今のビッグモーターをはじめとした、保険に関するトピックで株価の影響を受けやすく購入のタイミングが難しい一面もありますので、慎重な判断が必要になります。