マイクロン、生成AIデータセンター向けのHBMが好調
半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジー(MU)が発表した2025年3-5月期決算は売上高が前年同期比37%増の93億100万ドル、純利益が5.7倍の18億8500万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は1.91ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.60ドルを19.3%上回っています。
生成人工知能(AI)向けのデータセンターで使うDRAMの需要が継続的に拡大し、好業績につながりました。売上高が伸びる中、粗利益率は前年同期の26.9%から37.7%に上昇しています。従来型のDRAMに比べてデータ転送速度を大幅に向上させた広帯域メモリー(HBM)の比重が高まり、利益率が改善しました。
部門別の売上高はHBM を含むDRAM事業が前年同期比50.7%増の70億7100万ドルとなり、全体を牽引しました。電源を切っても記憶を保持する不揮発性メモリーのNAND型フラッシュメモリー事業は4.4%増の21億5500万ドルと着実に伸びています。
セグメント別ではデータセンター向けを中心とするコンピューター&ネットワーキング部門(CNBU)が伸びており、売上高が97%増の50億6900万ドル、営業利益が4.9倍の21億8200万ドルに急増しています。NANDフラッシュメモリーを採用したソリッドステートドライブ(SSD)を含むストレージ部門は売上高が7%増の14億5100万ドルと増収を確保しましたが、営業損益では小幅な赤字に転落しています。
モバイル向け部門は売上高が2%減の15億5100万元で、営業利益が28%減の2億1700万ドル。組み込み向け部門は売上高が5%減の12億2700万ドル、営業利益が21%減の9800万ドルとそろって減少しています。現状ではデータセンター向けビジネスに集中していると言えそうです。
サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は「2025年通期(8月期)決算で売上高が過去最高を更新する道をたどっている」と説明した上で、「AIが主導するメモリー製品需要の成長に対応するため、技術面のリーダーシップと製造面の卓越性の確立に向けた規律ある投資を実行している」と話しています。
決算発表時のガイダンスでは2025年6-8月期の売上高を104億-110億ドル、粗利益率を40.0-42.0%、EPSを2.14-2.44ドルと予想しています。非GAAPでは売上高が104億-110億ドル、粗利益率が41.0-43.0%、EPSが2.35-2.65ドルとの見通しを示しています。
ナイキが苦戦、再建計画に基づき業績改善目指す
ナイキ(NKE)が発表した2025年3-5月期決算は売上高が前年同期比12%減の110億9700万ドル、純利益が86%減の2億1100万ドルとなりました。EPS(1株利益)は0.14ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.13ドルを8.6%上回っています。
売上高が2桁減となる中、売上原価が3%減の66億2800万ドルとコスト圧縮が不十分で、採算が悪化しました。粗利益率は前年同期の44.7%から40.3%に低下しています。事業運営費は3%減の28億9500万ドルとやはり大幅に削減できませんでした。こうした中、需要創出のための支出が15%増の12億5300万ドルに膨らみ、利益を圧迫しています。
ナイキは現在、2024年10月に就任したエリオット・ヒル最高経営責任者(CEO)が打ち出した再建計画「ウィン・ナウ」プランに沿い、業績回復を目指しています。マット・フレンド最高財務責任者(CFO)は「2025年3-5月期決算はウィン・ナウで最も財務的な打撃が大きかった。今後は逆風が弱まると予想している」とコメントしました。
2025年5月通期決算は売上高が前年比10%減の463億900万ドル、純利益が44%減の32億1900万ドルでした。粗利益率は前年の44.6%から42.7%に低下しています。事業運営費は7%減の113億9900万ドルと圧縮しましたが、それでも減収率を下回っています。需要創出に向けた支出は9%増の46億8900万ドルに拡大し、純利益が落ち込んでいます。
ヒルCEOは「業績は我々の予想の範囲内だったが、我々が望んでいたものではない」と説明し、「ウィン・ナウを進展させることでビジネスが改善すると予想している」と述べています。