家庭用美容、健康機器メーカーのヤーマン(6630) 海外部門の巻き返しはあるか

今回は、美顔器や痩身器具など家庭用美容、健康機器メーカーであるヤーマン(6630)に注目。最近の決算などを確認したいと思います。



直近の決算(25.12期1Q)は大赤字

同社は9月12日に、25.12期1Q(5-7月)の連結営業損益は8.3億円の赤字(前年同期は1.9億円の黒字)だったと発表しました。セグメントを確認してみると、


・通販部門は、地上波テレビ通販が振るわず、リピート枠や新規枠の確保が困難であったことなどから、大幅な減益 

・店販部門は、新規取引先開拓の遅れやインバウンド客の落ち込みなどが影響し、大幅な減益 

・直販部門は、前期に買収して連結子会社化したforty-fourとの共創をめざし、 商流の整理を行う過渡期となったことなどから、大幅な減益

 ・海外部門は、中国最大のECセール「618」商戦における広告宣伝費の増加や、前年同期に貸倒引当金の戻し入れなどがあった反動により、赤字転落 


このようにすべてのセグメントが減益となっています。なお、決算発表を受けた翌営業日の株価は下落となり、一時773円まで下げ幅を広げました。



【ヤーマンの日足チャート(~2025年9月22日まで)】



順調だった業績が一転

同社は2022年6月に23.4期通期の連結営業利益予想を100.0億円(前期比45.3%増)と発表し、その後の株価は1792円まで上昇しました。


しかし、2023年3月14日に業績予想の修正を発表し、23.4期通期の連結営業利益予想を従来の100.0億円から62.0億円に下方修正。下方修正の要因については、新カテゴリ(ヘアケア・シェーバーなど)およびリピート商材への中期的な売り上げ拡大に対する投資が先行したことや、直近の急激な為替変動の影響を受けたこととしています。


結局、23.4期は連結営業利益61.3億円(前期比10.8%減)で着地。予想を小幅に下回りました。その後の業績ですが、24.4期の連結営業利益は4.2億円(前期比93.2%減)、25.4期は6.3億円(前期比50.9%増)と、23.4期に比べるとかなり物足りない数字となっています。


【ヤーマンの週足チャート(2022年1月~2023年12月まで)】



業績低迷の要因は海外部門

同社の海外部門の業績ですが、以下のように23.4期がピークとなり、ここ数年は減少が続いています。


21.4期はセグメント利益が30.1億円(前期比84.7%増)

22.4期はセグメント利益が43.9億円(前期比45.6%増)

23.4期はセグメント利益が68.7億円(前期比56.7%増)

24.4期はセグメント利益が30.7億円(前期比55.4%減)

25.4期はセグメント利益が13.4億円(前期比56.3%減)、


「中国でのECといえばヤーマン」という印象でしたが、中国の景気低迷やRF(ラジオ波)美顔器への規制(2024年4月からRF機能が付く美顔器が第3種の医療機器へ)、競合の台頭などにより、業績は低迷しています。



今後について

今期(25.12期)は、決算期変更の経過期間に伴い8カ月間の変則決算となりますが、連結営業利益予想は4.5億円となっています。冒頭に記載した通り、25.12期1Qは大幅な赤字。各セグメントの減益要因をみると、ここからの巻き返しは容易ではないと感じます。


ただし、同社は2025年7月24日に、6月20日にNMPA(中国国家薬品監督管理局)より同社のRF美顔器が第三類医療機器としての認可を取得したと発表しています。


中国の景気低迷や競合の台頭という懸念は残るものの、認可取得によりRF美顔器の販売増加が期待される点はポジティブです。変則決算で業績推移がわかりづらくなっていますが、過去の実績を踏まえると、来期(26.12期)の連結営業利益10億円超えも期待できますので、引き続き注目したいと思います。


日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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