NYマーケットダイジェスト・12日 株4日続伸・金利上昇・ドル高一服

(12日終値)

ドル・円相場:1ドル=142.84円(前営業日比△0.37円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=144.59円(△1.44円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0122ドル(△0.0080ドル)

ダウ工業株30種平均:32381.34ドル(△229.63ドル)

ナスダック総合株価指数:12266.41(△154.10)

10年物米国債利回り:3.36%(△0.05%)

WTI原油先物10月限:1バレル=87.78ドル(△0.99ドル)

金先物12月限:1トロイオンス=1740.6ドル(△12.0ドル)


※△はプラス、▲はマイナスを表す。


(主な米経済指標)

特になし


(各市場の動き)

・ドル円は反発。アジア時間に一時143.50円まで上昇した反動で海外市場に入ると円買い・ドル売りが先行した。米10年債利回りが一時3.26%台まで低下したことも相場の重しとなり、一時142.16円付近まで下押しした。明日の8月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に、市場では「米インフレのピークアウト観測が高まっており、株高とドル安が進んでいる」との声が聞かれた。

 なお、米ニューヨーク連銀の最新調査によると、1年後のインフレ期待は5.7%と前回の6.2%から急低下。3年後のインフレ期待も2.8%と前回の3.2%から低下した。

 ただ、NY午後に入るとじりじりと下値を切り上げる展開に。米10年債入札が「低調」と受け止められると、米10年債利回りが一時3.3751%前後と約3カ月ぶりの高水準を記録。円売り・ドル買いがじわりと強まり、142.85円付近まで持ち直した。


・ユーロドルは続伸。欧州序盤に一時1.0198ドルと8月17日以来の高値を付けたものの、NY市場ではじり安の展開に。欧州連合(EU)のエネルギー計画草案で電力需要の義務的削減が盛り込まれることが伝わると、域内景気の先行き懸念が高まりユーロの上値を抑えた。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出た。

 ただ、欧州中央銀行(ECB)が大幅利上げを継続するとの観測からユーロ買い・ドル売りも入りやすく、下押しも限定的だった。


・ユーロ円は反発。大幅利上げを継続するとの観測が強まるECBと、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ユーロ買いが強まり、欧州序盤には一時145.64円と2014年12月以来の高値を付けた。

 ただ、NY市場では上値の重さが目立った。ユーロドルの伸び悩みなどが相場の重しとなり、1時前には144.14円付近まで下押しした。


・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸。明日の8月米CPIの発表を前に、市場では「米インフレのピークアウト観測が高まっており、株高が進んだ」との声が聞かれた。「高価格帯のスマートフォンに対する消費者の需要は継続している」との報道などを受けて、「iPhone14」を発表したアップルが3.9%上昇。相場上昇をけん引した。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も4日続伸した。


・米国債券相場で長期ゾーンは反落。この日実施された3年債と10年債入札が「低調」と受け止められると、債券売りが優勢となった。利回りは一時3.3751%前後と約3カ月ぶりの高水準を付けた。


・原油先物相場は3日続伸。米戦略石油備蓄(SPR)在庫が約38年ぶりの水準まで縮小したとの報道や、EUがロシア産の原油および石油製品に加え、天然ガスについても取引価格に上限を設ける方策を検討中であることに対しロシアが供給停止を警告していることを手がかりに原油先物は買いが優勢となった。また、英仏独がイランの核合意再建への意欲を疑問視する声明を発表したことや、為替相場でドル安・ユーロ買いが進んだことも原油の買いを後押した。


・金先物相場は続伸。明日13日に8月米CPIの発表を控え為替市場でドルの調整売りが優勢となり、ドル建ての金は割安感から買いが優勢となった。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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