【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:パランティア、通期業績予想を大幅に上方修正

パランティア、売上高と純利益がともに過去最高

データ解析ソフトウエアを開発するパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が発表した2025年7-9月期決算は売上高が前年同期比63%増の11億8100万ドル、純利益が3.3倍の4億7600万ドルでした。調整後EPS(1株利益)は0.21ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.17ドルを23.5%上回っています。


売上高は4-6月期に続き10億ドルを超えました。純利益は四半期決算で初めて4億ドルを突破しており、売上高と純利益がともに過去最高を更新しています。



地域別では米国事業の売上高が77%増の8億8300万ドルと急成長しました。売上高の内訳は政府部門が52%増の4億8600万ドルで、米国事業の売上高の55%を占めました。7-9月期には米国陸軍と今後10年にわたりソフトウエアやデータを提供する大型契約を結んでいます。契約額は最大で総額100億ドル規模に上る見通しです。米政府機関の閉鎖は2カ月目に入りましたが、決算発表時には影響について明示していません。


一方、民間部門は売上高が2.2倍の3億9700万ドルに急増しています。米国事業の売上高に占める割合は45%で、前年同期の36%からさらに上昇しました。


決算発表時のガイダンスでは2025年12月通期の売上高を43億9600万-44億ドル、米国の民間部門売上高を14億3300万ドル以上(前年比で104%増以上)、調整後営業利益を21億5100万ドル-21億5500万ドルと予想しました。今年8月に発表したガイダンスでは売上高を41億4200万-41億5000万ドル、米国の民間部門売上高を13億200万ドル以上(前年比で85%増以上)、調整後営業利益を19億1200万ドル-19億2000万ドルと予想していましたが、2025年7-9月期決算の好業績を受け、3カ月前の見通しを大幅に上方修正しています。



また、ガイダンスでは2025年10-12月期の売上高を前年同期の実績比で60-61%増の13億2700万―13億3100万ドルと予想しました。アレックス・カープ最高経営責任者(CEO)は「ガイダンスで予想した四半期の増収率では61%がこれまでで最も高い」とコメントしています。


パランティア・テクノロジーズは最近、業務提携に積極的に取り組んでいます。2025年10月にはデータ管理プラットフォームのスノーフレイク(SNOW)、通信サービスのルーメン・テクノロジーズ(LUMN)、そしてAI半導体のエヌビディア(NVDA)との戦略提携を相次いで発表しています。


バーテックス・ファーマシューティカルズ、新分野で成果

バイオ医薬品のバーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)が発表した2025年7-9月期決算は売上高が前年同期比11%増の30億7600万ドル、純利益が4%増の10億8300万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は4.80ドルで、LSEGがまとめた市場予想の4.56ドルを5.3%上回っています。


主力製品である嚢胞性線維症の治療薬に対する需要の増加に加え、新たに投入した医薬品が市場に受け入れられ、2桁増収を確保しました。一方、研究開発費が12%増、販売管理費が20%増と膨らみ、営業利益が6%増の11億8600万ドルと伸びが鈍化しています。



製品別の売上高では嚢胞性線維症の治療薬「トリカフタ」が3%増の26億5400万ドルとやや伸び悩みましたが、売上高全体に占める割合は86%と圧倒的な水準です。2024年12月に米国で承認された嚢胞性線維症の治療薬「アリフトレック」は売上高が2億4700万ドル(前年同期はなし)でした。


バーテックスと言えば「トリカフタ」を軸とする嚢胞性線維症の治療薬に強みを持ちますが、異なる分野への進出で成果を出し始めています。鎌状赤血球症など血液疾患の治療薬「キャスジェビー」が前年同期の200万ドルから1690万ドルに売り上げを伸ばしました。



さらに2025年1月に承認されたばかりの非オピオイド鎮痛薬「Journavx」は2025年7-9月期の売上高が1960万ドルに達しています。米国では依存性のある麻薬性鎮痛薬(オピオイド)の乱用が問題になっており、急性疼痛の治療薬として非オピオイドである「Journavx」に対する医師や専門家の関心が高まっているようです。


決算発表時のガイダンスでは2025年12月期の売上高を119億-120億ドルと予想し、従来の118億5000万-120億ドルから小幅に上方修正しています。

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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