ゼンショー(7550)の業績を確認 すき家の利益貢献は低下 月次は値下げ効果で回復傾向

今回は外食最大手で「すき家」などを運営するゼンショーホールディングス(以下、ゼンショーHD、7550)の直近の決算などについて確認します。



26.3期の業績動向

ゼンショーHDは11月11日に26.3期上期の決算を発表しました。26.3期上期(4-9月)の連結営業利益は404億円(前年同期比1.7%減)と小幅な減益での着地となりました。


では、もう少し詳しく内容を確認するため、セグメント別にみていきます。


「グローバルすき家セグメント」の売上高は1490億9900万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は37億7100万円(同71.9%減)となりました。

前期末に国内すき家の一部店舗で発生した異物混入事案を受けた安全衛生対策について、清掃の強化や老朽化が進んでいる店舗の計画改装などに引き続き取り組んでおり、これらの対策にかかる費用および前期末の3月31日から4月3日にかけ一部店舗を除く全店で営業を一時停止した際の諸費用を計上したことなどが響き、大幅な減益となりました。


ゼンショーHDは「すき家」の会社というイメージですが、「グローバルすき家セグメント」がこれだけ減益になっても、会社全体では小幅な減益で留まっています。ではどのセグメントの利益貢献が大きかったかというと、「グローバル中食セグメント」です。


「グローバル中食セグメント」は、主として欧米で寿司などのテイクアウト商品を提供しており、売上高は1118億7200万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は153億8400万円(同18.3%増)となっています。


次に利益貢献が大きかったのは「グローバルはま寿司セグメント」です。「グローバルはま寿司セグメント」の売上高は1496億3700万円(前年同期比27.8%増)、営業利益は119億1700万円(同22.6%増)です。なお、上期末の「はま寿司」の店舗数は785店舗(国内652店舗、海外133店舗)となっています。


26.3期上期(4-9月)の利益については、「グローバル中食セグメント」と「グローバルはま寿司セグメント」の利益の合計が全体の7割程度を占めています。「グローバルすき家セグメント」の落ち込みが激しかったため、このような極端な結果となりました。



ただ、この流れは26.3期1Q(4-6月)ですでに表れていました。同社が8月11日に発表した、26.3期1Q(4-6月)の連結営業利益は158億円(前年同期比8.7%減)でしたが、セグメント別は以下のとおりです。


26.3期1Q(4-6月)の「グローバルすき家セグメント」の売上高は660億8800万円(前年同期比3.5%減)、営業損失は7億6800万円(前年同期は営業利益54億4500万円)。


26.3期1Q(4-6月)の「グローバル中食セグメント」の売上高は557億1400万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は77億6700万円(同34.1%増)。


26.3期1Q(4-6月)の「グローバルはま寿司セグメント」の売上高は707億2600万円(前年同期比29.6%増)、営業利益は51億6900万円(同35.6%増)。


このように、26.3期1Q(4-6月)は「グローバル中食セグメント」と「グローバルはま寿司セグメント」が「グローバルすき家セグメント」の赤字をカバーしたといえます。



株価推移

1Qの決算発表後に株価は大きく上昇しています。これは「グローバル中食セグメント」と「グローバルはま寿司セグメント」が好調だったことなどにより、営業利益が市場コンセンサス(アナリスト予想の平均)を上回ったことが要因と考えられます。


ただ、26.3期上期(4-9月)の決算発表後は弱い動きになっています。これは「グローバルすき家セグメント」の回復が遅れていることや、「グローバル中食セグメント」と「グローバルはま寿司セグメント」の前年同期比の利益の伸びが1Qと比べて低下したこともあり、営業利益が市場コンセンサスを下回ったことが要因と考えます。



【ゼンショーHDの日足チャート(2025年4月1日~11月12日まで)】



最後に

「グローバル中食セグメント」と「グローバルはま寿司セグメント」が伸びていても「グローバルすき家セグメント」の回復がなければ、完全復活とはなりません。ただ、直近の「すき家」の月次は回復しています。


「すき家」は2025年9月4日から牛丼並盛など値下げしており、それを受けた9月の「すき家」における既存店売上高は速報値で前年同月比6.3%増、10月は同4.2%増と前年同月越えとなっています。


今後もこの傾向が続けば、26.3期通期の営業利益の会社計画820億円、さらには市場コンセンサスの858億円(2025年11月12日時点)超えも狙えると思いますので、引き続き月次動向に注目していきたいと思います。


日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

河賀 宏明の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております