2026年税制改正大綱を解説!NISA拡充、暗号資産が分離課税に

2026年税制改正大綱が発表され、個人投資家にも関わる改正が盛り込まれました。

NISAのつみたて投資枠の年齢制限は撤廃され、投資対象となる金融商品が拡充されます。

また暗号資産は総合課税から分離課税(所得税15%、個人住民税5%)が適用されることになりました。

今回は2026年税制改正大綱に記載された投資に関わる項目、基礎控除額と給与所得控除額の引き上げについて、解説していきます。


NISAの拡充

2026年税制改正大綱では、つみたて投資枠の年齢制限撤廃、投資対象となる金融商品を拡充することが盛り込まれています。


1.つみたて投資枠は0歳から利用可能に

NISAは現行18歳以上という年齢制限が設けられていましたが、対象年齢が拡大され「つみたて投資枠」が0歳から利用可能になります。


0歳~17歳の間は、年間60万円(非課税限度額は合計600万円)まで投資可能です。

大学進学や成人後のライフイベントに向けた資金の準備を、長期・積立・分散投資で支援します。

親が自分のNISA枠(最大1,800万円)とは別枠で、子どもの将来のための資金を非課税で準備できるというメリットがあり、子どもにとっては親と一緒に投資を体験することで、金融リテラシーの向上が期待できます。

子供が12歳以降になれば、本人の同意を得ることで親権者などによる払い出しが可能になります。


2.投資対象となる金融商品を拡充

より多様な投資ニーズに応えるため、NISA枠で選べる金融商品が増えます。

例えば指定インデックス投資信託、上場株式投資信託(ETF)に①読売株価指数、②JPXプライム150指数が加わります。

読売株価指数(通称:読売333)とは、読売新聞グループ本社が2025年3月から算出・公表した、新しい株価指数です。 時価総額が大きく流動性の高い333社の銘柄が、全て同じ比率で構成されています。

「JPXプライム150指数」は、東証プライム市場のPBR(株価純資産倍率)低迷を受け、「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトに開発されました。


本指数は、時価総額上位銘柄から「資本収益性」と「市場評価」の2つの観点で選定されます。「資本収益性」は、ROE(株主資本利益率)と株主資本コスト(投資者の期待リターン)の差である「エクイティ・スプレッド」、「市場評価」については「PBR」を指標としています。

資本コストを上回る利益を上げ、市場から将来性を高く評価されている150社で構成されます。


加えて、先進国・新興国の単独指数に連動する投資信託が追加されます。


暗号資産の分離課税化

暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る)の譲渡所得は、今まで雑所得として課税されてきましたが、譲渡所得を他の所得と分離し20%(所得税15%、個人住民税5%)の分離課税が適用されることになりました。

雑所得は、給与所得や事業所得など他の所得と合算され総合課税(所得税は最大45%、住民税を加えると最大55%)の対象です。所得が高い人にとっては、大幅な軽減となります。


 

出典:国税庁「所得税の税率」

また、損失が発生した場合3年間にわたって繰越控除が可能となり、将来の利益と相殺できるようになります。


暗号資産の税制改正は、投資家保護のための説明義務など健全な取引環境の構築を前提として実施されます。国民が安心して暗号資産市場に参加できる環境を整備し、資産形成を促進することが目的です。また、デジタルエコノミーの進展にも対応する重要な施策として位置づけられています。


続いては、基礎控除額・給与所得控除額の引き上げについて解説していきます。



基礎控除額・給与所得控除額の引き上げ

所得税の基礎控除額は、物価上昇率に連動して控除額を引き上げる仕組みに改正されます。具体的には、基礎控除の本則部分に直近2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率を乗じて調整します。

今回の税制改正では上昇率6.0%を踏まえ、基礎控除を58万円から62万円に引き上げます。

あわせて、合計所得金額2,350万円以下の個人は基礎控除を4万円引き上げ、所得区分に応じた新たな控除額を設定します。


そして、給与収入が190万円以下の方の給与所得控除額は、現行65万円を69万円に引き上げます。


まとめ

2026年税制改正大綱は、国民の資産形成を後押しする内容となっています。

NISAでは0歳から投資が可能となり、子どもの将来に向けた長期的な資産形成の選択肢が広がりました。また、投資対象商品の拡充により、より多様な投資戦略が可能になります。

暗号資産は20%の分離課税となり、損失の3年間繰越控除も認められました。

2026年以降の資産形成戦略を考える上で、今回の税制改正を十分に理解し、活用していきましょう。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

1級FP技能士、CFP(R) 認定者。ライター。 会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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