「最近、スーパーで買い物をするたびに、ため息が出る……」
「ニュースでカレーライス物価指数って聞いたけど、これって何のこと?」
「結局、物価はこれから下がるの?それともまだ上がるの?」
家庭の定番メニューであるカレーライス。私たちも普段から食べる家庭料理だからこそ、材料費の変化は家計の苦しさをダイレクトに映し出します。
実は2025年、日本のカレー価格はついに1皿440円台という過去最高水準に到達しました。手軽で安くて美味しいカレーが、今や牛丼チェーン店と変わらない値段になりつつあるのです。
この記事では「カレーライス物価指数」の仕組みから、なぜここまで価格が高騰したのか理由を紹介します。そして2025年後半から2026年にかけて物価はどう動くのかについて、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
家計防衛のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

カレーライス物価指数とは?CPIより生活感に近い指標
「カレーライス物価指数」とは、帝国データバンク(TDB)が独自に算出し、発表している物価の指標です。
政府が発表する「消費者物価指数(CPI)」は数百品目の平均値であるため、あまり買わない商品も含まれており、私たちの肌感覚とズレることがあります。一方、カレー指数は以下の「家庭でよく使うものだけ」で構成されています。
・米
・肉(牛・豚・鶏)
・野菜(タマネギ・ニンジン・ジャガイモ)
・カレールー
・光熱費(電気・ガスなど)
これらを使って、家庭で4人前のカレーを作ることを想定したコストを算出。2020年の平均値を「100」として指数化したものがカレーライス物価指数です。
この指数を見れば「私たちがスーパーで感じる値上がり感」が、より直感的に把握できるのです。
2025年のカレー価格は過去最高
2025年に入り、カレー価格は歴史的な高値を更新し続けています。帝国データバンク(2025年9月発表)が発表した最新データを見てみましょう。
2025年9月分(11月10日発表)
・1食あたりコスト:438円
・指数:160.9(過去最高)
・前年比:+20.3%
注目して欲しいのは、2020年と比較して、たった5年でコストが約1.6倍になっている点です。この急騰の背景には、複数の圧力が存在しているのです。

画像引用元:「カレーライス物価指数」調査―2025 年 9 月分|帝国データバンク
なぜカレーが高いのか?1皿440円に上昇した3つの理由
ここまでカレーの値段が上がった構造的な3つの理由を解説します。
【理由①】米価格の歴史的な急騰
今回の高騰のもっとも大きな要因といえるのがお米です。2024年の猛暑による不作の影響が2025年まで尾を引いており、米価格は前年比で約1.5~1.6倍で推移しています。
とくに米の店頭価格で精米5キログラム当たり5,000円を超える高値がついたことで、全体の価格を大きく押し上げました。
【理由②】円安による輸入肉・小麦の高止まり
為替市場での円安傾向も、食卓を直撃します。日本のカレールーに使われる小麦や油脂、そして牛・豚などの食肉は多くを輸入に頼っています。
以下のグラフは、過去5年間のドル円チャートです。

参照:Trading View
2022年からアメリカのインフレ対策による利上げにより、日米金利差が急拡大し円安が進みました。2022年後半には1ドル140円以上がベースとなり、2025年後半には150円台で推移しています。
円安によってこれらの調達コストが上昇し、店頭価格が高止まりしているのです。「お肉たっぷり」のカレーを作る家庭ほど、負担感は増しているはずです。
【理由③】エネルギーコストと物流費の上昇
材料費だけでなく、カレーを煮込むための光熱費やスーパーまで商品を運ぶ物流費も上昇しています。
一般的に物流コストによる価格上昇を「コストプッシュ型インフレ」と呼び、企業努力だけでは吸収しきれず、価格に転嫁せざるを得ない状況が続いています。
自炊すれば安いというこれまでの常識が、通用しづらくなっているのが現状です。
今後の見通し:カレー価格は下がる?それとも高止まり?
2025年に入ってから1皿400円台前半で推移しているカレーライス指数ですが、これで「値上げラッシュは終わった」と判断して良いのでしょうか?
結論から言うと、2025年後半は横ばいと予測します。
・下落要因:野菜価格の落ち着き
天候の回復により、タマネギやジャガイモなどの野菜価格は供給が正常化し、価格が落ち着きました。これが指数の上昇を抑える要因になります。
・上昇圧力:米と為替の動向
2025年秋に収穫される新米の価格です。豊作となり価格が下がれば、米価格が下がればカレー指数も下がりますが、2025年9月以降の米店頭価格は4,400円前後と引き続き高止まりしています。また、高市政権誕生後も円安トレンドが継続しているため、肉やルーの価格は下がりません。
つまり、野菜価格の改善という材料が、米価格と為替の不確実性に相殺されるシナリオが予想されます。

まとめ:カレー指数で読み解くインフレの正体
2025年のカレーライス物価指数は、過去最高の160台、1皿440円という数字を記録しました。
・米不足による価格高騰
・円安による輸入食材の値上がり
・エネルギー・物流コストの上昇
これら複合的な要因によって、私たちの食卓の「当たり前」が変化しています。
直近では野菜価格の下落で値上がりは落ち着いていますが、インフレ圧力が完全に消えたわけではありません。
カレーライス物価指数は単なる料理の値段ではなく、日本の家計の体温計です。今後、新米が出回る秋口にかけてこの指数がどう動くか。スーパーの棚を眺めながら少し注目してみてはいかがでしょうか。



