今回解説していく通貨はトルコリラ円(try/jpy)です。長期的な下落トレンドは継続しているものの、その勢いは明らかに減速。短期目線ではレンジ相場を抜け出せておらず、目先は様子見姿勢で臨みたいところです。ファンダメンタルズ面では、トルコ中銀がインフレ再燃リスクを警戒している様子がうかがえ、しばらくはインフレ動向に注意する必要があるでしょう。
今後のトルコリラ円の相場焦点:インフレ再燃リスクから直近の利下げ幅は縮小傾向
まずはトルコの現在の金融政策状況を確認していきます。
トルコ中央銀行は2023年6月に金融引き締めを開始。2024年3月に政策金利を50.00%まで引き上げて、2024年12月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は37.00%です。
●トルコ中銀が1月に金利引き下げを決めた直近会合での声明文では
・需要動向や為替レート、期待を通じて、物価安定を実現するまで引き締めスタンスを維持
・インフレ見通しと実績、基調的な動きを考慮して政策金利を決定
・インフレ見通しが中間目標からから大きく乖離した場合は引き締め姿勢を強める
などの見解が示されました。
足もとでトルコの消費者物価指数(CPI)は穏やかながら鈍化傾向が続いており、市場はインフレ鈍化を背景に大幅利下げ(150bp)が実施されると見込んでいましたが、実際の金利引き下げ幅は100bp(38.00%から37.00%へ引き下げ)にとどまりました。
市場ではトルコ中銀が先行きのインフレ再燃リスクを警戒しており、その慎重姿勢が今回の利下げ幅につながったとの見方が有力です。
2026年からの最低賃金の引き上げやリラ安による輸入物価の押し上げ効果などが主なインフレの上振れリスクと見られており、今後はインフレ率が中銀の想定通り2026年末までに16%へ向かって鈍化していくか見極める必要があるでしょう。
トルコリラ円相場の週足分析:下落トレンド継続も、勢いは明らかに鈍化
下図のチャートはトルコリラ円の週足チャートになります。依然として下落基調にあることは明白ですが、昨年後半からは下げ基調も減速。下落トレンドが和らぎつつあることが示されています。

チャート下部に追加した「DMI」で確認すると、昨年11月には+DI>-DI(上昇トレンド)への転換を示唆する場面も見られました。現在は再び下落トレンドであることを示していますが、トレンドの強さを示すADXが急低下していることから、やはり現状の下落トレンドは勢いを欠いていることがうかがえます。
トルコリラ円相場の日足分析:様子見姿勢を継続、レンジブレイクの判断は時期尚早
ここからは短期的な視点でも見ていきます。下図はトルコリラ円の日足チャートです。

それまでの下げ基調は昨年6月から一服。その後は3.60円を中心としたもみ合いへと転じた格好です。直近では3.50円まで過去最安値を更新する場面もありましたが、その後はすぐに買い戻しも入っており、レンジを下方向にブレイクしたと判断するには時期尚早でしょう。
しっかりとレンジ相場を抜け出すまでは様子見が無難。方向性がはっきりとしてきてから動き出しても遅くはないはずです。
今後の取引材料・変動要因をチェック:衆院選の影響に警戒
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベントも確認しておきます。期間内には予定されていませんが、日銀は3月18-19日、トルコ中銀は3月12日に金融政策公表が控えています。
また、直近ではやはり2月8日の衆院選が注目イベントとなります。高市政権の存続や積極財政、消費減税の行方などを市場は注視しており、翌9日の早朝から円相場が荒い値動きとなる可能性も高いため、トルコリラ円相場に対する影響にも注意しておきましょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
2月8日 日本 衆院選、投開票
2月20日 日本 1月全国消費者物価指数(CPI)
3月3日 トルコ 2月CPI



