まちなかはすっかりクリスマスムードです。さまざまな場所でイルミネーションやクリスマスの飾りなどがあふれ、耳にはクリスマスソングがとびこんできます。
企業もクリスマスに合わせてさまざまな商品を打ち出してきますが、そのなかでも代表的なものの一つにクリスマスケーキが挙げられるでしょう。クリスマスにはかかせない大事な要素でもありますが、おりからのインフレでこのクリスマスケーキも毎年のように値上げが続いているようです。
帝国データバンクが全国の大手コンビニエンスストア・百貨店・スーパー・洋菓子店などのうち、前年と価格が比較可能なオリジナルケーキブランドを対象に行った調査によると、2025年冬シーズンのクリスマスケーキ価格(ホール型5号、4~6人向けサイズ)の平均価格は4740円だったとのことです。
同じ対象企業のケーキ価格を比較すると、前年の4561円に比べて179円、率にして3.9%の値上げとなりました。これは2021年冬シーズンに比べると約2割高・900円に迫る値上がりとなっているようです。

クリスマスケーキ 平均価格推移(単位 円)
帝国データバンク公表資料よりDZHFR作成
細かい内訳をみてみると、調査対象は100社のうち値上げした企業は62社。価格据え置き・値下げに踏み切った企業は38社となりました。
このうち値上げした企業では、値上げ幅「200円以下」が27社と最も多くなったものの、「400円台」が9社、「500円以上」が17社となり、大幅値上げを実施した企業も少なくなかったもようです。
一方で、価格据え置き・値下げをした企業も多く、ホール当たり3000円~4000円台前半の価格が多いスーパーなどの量販店では、定番となるイチゴの使用数を減らすほか、高値が続くチョコレート素材を敬遠するなど装飾・デザインの簡素化、ホールケーキの高さを抑えるといった小型化でコストを削減し、値上げ幅を最小限に抑制する動きもあったようです。
値上げの要因としては原材料費の高騰による影響が大きく、昨シーズンに比べてイチゴ、乳製品、カカオなど主要な原材料費が大幅に値上がりしたとのことです。
特にケーキに欠かせない「イチゴ」は、猛暑による影響から生育が不安定で、11月時点の市場価格ベースで前年比10~30%前後値上がりし、クリスマスシーズンにかけてはさらに価格が上昇する傾向がみられます。
また、スポンジ生地等に欠かせない鶏卵は、生産コストの高止まりに加え、鳥インフルエンザの感染拡大による供給懸念を背景に前年比2割高で推移しており、「エッグショック」と呼ばれた2023年にせまる高値圏となっています。
ショコラケーキなどでは、チョコレートの原材料となるカカオが主産地である西アフリカでの異常気象の影響で記録的高値となり、前年比で3割以上の値上がりとなっています。
食材以外にも、テイクアウト用の化粧箱や食品フィルムなど包装資材では前年に続き大幅な値上げが続くほか、電気・ガス代、人件費、宅配ケーキでは配送コストも上昇傾向が続き、ケーキ価格を全体的に大きく押し上げる要因となっています。
上記調査とは別の話になりますが、ある店ではイチゴをまったく乗せない「真っ白」なデコレーションなしのケーキが完売となったニュースが報じられ、話題にもなりました。購入した人は自宅でそれぞれ思い思いのフルーツやデコレーションを楽しむことができるということで、これもまた時代に即したニーズにマッチした商品なのかもしれません。



