2026年4月、家電量販店大手の「ノジマ」が、なんと日本を代表するメーカーである「日立(日立グローバルライフソリューションズ)」の家電事業を買収すると発表しました。
日立グローバルライフソリューションズ(GLS)が家電事業を新会社に継承した上で、ノジマが子会社化するかたち。買収額は約1100億円でノジマとしては過去最高の買収額となるもようです。
家電の世界では「メーカー(日立など)が商品を作り、量販店(ノジマなど)がそれを仕入れて売る」というのが通常の関係です。量販店側であるノジマが、メーカーの日立を買収するのにはどんなメリットがあるのでしょうか。
もともとノジマは買収巧者のイメージがあります。2015年に元富士通系で携帯販売代理店大手だったITXを多額の費用で買収。買収代金はかなりの額で当時のノジマにとっても勝負手だったと思います。
しかし、携帯販売という安定かつ収益性の高い事業を手中に収めたことで、同事業が生み出すの営業キャッシュフローをてこにさらに拡大路線をとることが可能になりました。
ノジマ日足チャート

2023年には同業大手のコネクシオを買収。さらに携帯販売代理店の事業を強化させていくほか、携帯電話商品を接点に顧客との結び付きを強め、家電販売事業にも展開する流れができました。メーカーから派遣されてきた販売員ではなく、自社のスタッフが顧客の声を直接聞き、最適なものを提案する力を携帯販売代理店事業を展開することで強化できたわけです。
2025年にはパソコンのVAIOを買収。販売にとどまらず製造の領域へと展開していきます。そして今回の日立の買収。いよいよメーカーとしても勝負に出ていく意志を感じます。
日立買収で同社は製販一体のビジネスモデルを本格的に確立させることになるでしょう。ビジネスとしてはファーストリテイリングやニトリなどが展開する自社で作り、自社で売る事業形態です。顧客と直接的な接点をもつことで、直接声を聴いたり、潜在的なニーズをつかむことで商品づくりに活用することができる点が強みと言えます。
これは前述したように携帯販売代理店の事業に注力するなかで同社が強化してきたポイントであり、それがメーカーとしても強みになるとの自信がノジマにはあるのでしょう。
日本の家電メーカーといえば、使わない高機能や差別化のための独自機能にこだわり、価格高騰から海外メーカーに対する競争力を失っていった反省があります。自ら作り、自ら売ることで、こうしたリスクを抑えることができます。これこそがノジマが日立を買収した理由だとわたしは思います。
2025年時点で同社野島社長は「今後5年間で最大5000億円は買収に充てられる」との方針をメディアなどで語っています。今後もさらに製造部門の買収が進められる可能性があります。
今回の買収後も「日立」ブランドは残す方針とされていますが、その中身は変わっていくことになるでしょう。ノジマは今、デジタル・家電業界の「ニトリ」や「ユニクロ」になろうとしているのだなと感じます。





