対ドルでは、2024年10月以来の安値
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年6月11日13時頃、対円では前週(7日前)比2.7%安の1005万円前後で取引されています。BTCドルが6万2500ドル台と、年初来で約28%安と軟調です。
BTC円は6月初めの地合いの弱さが引き継がれました。4日朝には2月末以来の1000万円割れとなり、一旦は切り返すも1040万円にも届かず再び下値を試しました。6日の早朝には948万円まで売り込まれ、2月初旬につけた年初来安値に8万円まで迫りました。
為替でドル高円安の影響もあり、BTCドルの落ちは更に厳しかったです。2日に7万ドルを下回ると目立った戻りもなく、4日未明には6万5000ドルを下抜けました。 5日夜中には2024年10月以来の6万ドル割れ、5万9100ドル付近まで下げ幅を広げました。
ただ、6月8日週に入り、BTC相場は大きな反発はないものの落ち着きを取り戻しつつあります。

※Trading Viewより
マウントゴックスの動向と市場への心理的圧迫
市場の警戒感を集めているのが、かつて世界最大の暗号資産取引所だったマウントゴックス(Mt.Gox)の民事再生手続きを巡る動きです。同取引所は2014年に巨額のビットコインを流出させて破綻し、現在は管財人による債権者への弁済が進められています。長らく沈黙を保っていた財産のウォレットから、約7億3900万ドル相当にのぼる1万422BTCが新たなアドレスへ移動されたことが確認されました。
この巨額移動は、市場への実質的な供給リスクとなる「売り圧力(オーバーハング)」の再燃を意味します。返還された資産が債権者によって売却されるのではないかという警戒感が、市場に広がりました。
米国とイランの軍事的な緊張が再燃するなか、マウントゴックスの大口移動が重なり、投資家の売り姿勢に拍車をかけました。相場が節目の7万ドルを割り込むと、買い支えの動きは鈍く、6万5000ドルも下回り、そのまま下値を探る展開となりました。

※Trading Viewより
先物レバレッジ清算のドミノ
相場の下落をさらに加速させたのが、これまで需要の要であった現物ビットコインETFからの資金流出と、先物市場におけるロスカットの連鎖です。これまで上値を牽引してきたETFへの資金流入が弱まり、短期資金を中心とする大規模な流出超過へ転じたことで、市場の買い手が消失する形となりました。

※CoinMarketCapより
このスポット(現物)市場での需要後退をきっかけに、価格が重要なサポートラインを下抜けると、先物市場で買いポジションを維持していたトレーダーの強制清算がドミノ倒しのように始まりました。追証や投げ売りがさらなる下落を呼ぶ、買いポジションの強制清算の連鎖により、下落スピードは一段と速まりました。

※暗号資産分析サイトcoinglassより
機関投資家の視線シフト
前回のコラムでも触れた通り、ストラテジー社が優先株の配当原資を確保するために32BTCを売却した事実は、同社が掲げてきた「絶対保有(HODL)」の神話を崩し、市場に冷や水を浴びせました。
さらにバイナンスリサーチが指摘するように、投資家マネーが過熱する米国株式市場のAI・半導体セクターや防衛産業へ流れる「資本のブラックホール現象」も継続しています。暗号資産特有の致命的な危機ではないものの、機関投資家の関心が他へ移り、買い手不在となったことが今回の調整を長期化させる要因となっています。
地政学リスク、大口の売り圧力、買い手の不在。三つの重しが同時に重なった今回の下落は、ある意味で教科書通りの展開でした。それぞれの材料がどう解消されていくか、引き続き注目が必要です。
今週のまとめ↓






