「あの株はいまいくら?」では、話題になった株の現状を確認します。今回は「パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)」で有名なガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)について、株価と業績を中心にみていきます。
ガンホーの株価推移
ガンホーの上場来高値は2013年5月につけた1万6330円です。「パズドラ」が同年7月に1700万ダウンロードを達成、売り上げも急拡大していたこともあり、期待が大きく高まった時期です。
以下は2013年の週足チャートですが、株価1万円を超える水準で推移していたのは2013年5月~8月にかけてのごく短い期間だけだったことがわかります。なお、2014年以降に株価が1万円の大台にのることはありませんでした。
株価下落は長期間続き、2020年3月に1359円まで下落。もし株価のピーク時に100株購入していたとしたら163万円が13万円になった計算になります。極論ではありますが、100株の売買で150万円の損失は大きいですね。
一方、2020年3月に株価は底打ちしたようで、そこから切り返しの動きになっています。以下は、2020年3月から2022年7月までの週足チャートです。これをみると、2020年夏以降は2000円~3000円の範囲で株価が推移していることがわかります。
ガンホーの業績推移
次はガンホーの業績についてみていきます。以下のグラフは2012年度から2021年度までの同社の売り上げと営業利益のグラフです。
(単位:億円)
「パズドラ」が大ヒットとなる直前の2012年度の売り上げは258億円でしたが、2013年度の売り上げは1630億円と驚異的な増加となっています。また、2013年度の営業利益は912億円ですので、2012年度の売り上げと比較すると3.5倍です。前年の売り上げの3.5倍の利益を計上するという一般的な会社ではありえない急成長となっています。
売り上げについては、2014年度の1730億円をピークとして、その後は減少傾向となりました。そして、2018年度が売り上げ、営業利益ともに底となり、その後の売り上げは横ばい傾向、利益は増益基調となっています。
足元の状況ですが、5月13日に発表した2022年度(22.12期)第1四半期の営業利益は75.1億円(前年同期比29.0%減)となりました。減益にはなりましたが、これはパズドラ10周年記念イベントによりゲーム内アイテム「魔法石」を大量に配布したことが主因とのことなので、過度に悲観する必要はないと考えます。
一時的な要因を除けば「パズドラ」の売り上げは引き続き安定的に推移しているようです。そして、6月に世界累計900万ダウンロードを突破したNintendo Switch向け対戦ニンジャガムアクションゲーム「ニンジャラ」、昨年6月にサービスを開始したスマートフォン向けMMORPG「ラグナロクオリジン」のさらなる収益貢献にも期待したいところです。
最後に
ガンホーの株価と業績推移を比較してみると、売り上げと営業利益のピークとなる2014年ではなく、2013年に株価のピークがきているわかります。そして、前期比で増収増益が確認できた2020年に株価の反転がスタートしているようにみられます。
期待による急激な株価上昇が2013年とすれば、2020年は業績底入れ確認後の緩やかな株価上昇と考えられます。短期志向の投資家は2013年の上昇を好むでしょうが、個人的には2020年の緩やかな株価上昇のほうを好みます。こちらのほうが息の長い上昇になることが多いと思われるからです。
ガンホーはゲーム会社ですので一般的な会社よりも業績が上下しやすいという点は注意が必要ですが、株価に刺激を与える材料は比較的多いといえます。ガンホーを「終わった会社」ではなく「新たな局面を迎えた会社」として、もう一度注目してみるのも面白いと考えます。