日本証券業協会では、四半期ごとに証券会社でのNISA口座の開設・利用状況について調べています。2026年5月に公表された「NISA口座の開設・利用状況(証券会社全社・2025年12月末時点)」から、興味深いトピックをご紹介しましょう。
証券会社のNISAはついに2,000万口座を突破
2025年12月末時点における全証券会社のNISA口座数は、約2,025万口座となり、1年間で222万口座が増加しました。2024年に新NISAが始まる直前の2023年12月からは約600万口座増えています。
【グラフ1】は、新NISA開始後のNISA買付額と口座増加数の推移です。

2024年前半は、新NISAへの関心の高まりもあってか、半年で273万口座が開設されました。その後はペースこそ落ち着いたものの、2025年後半も100万口座を超える純増が続いています。
新NISA開始時の急拡大を経て、現状のNISAは安定的な利用が続いているといえるでしょう。
NISAの年間買付額については、2025年は15.4兆円に達し、前年に比べ1.1倍となりました。そのうち成長投資枠での買付額が10.5兆円で前年比1.1倍、つみたて投資枠は4.8兆円で前年比1.2倍でした。「NISAといえばつみたて投資枠を使った投資信託の積立」という印象が強いかもしれませんが、成長投資枠での買付額がつみたて投資枠での買付額の約2倍となっています。
これを内訳で示すと、NISA全体の買付額に占める「成長投資枠」の割合は69%で、「つみたて投資枠」が31%となります。
じつはNISAの4割は株式投資
さらに成長投資枠の中身を見ると、株式が58%、投資信託が42%です。両方を合わせたNISA全体では、40%が株式、60%が投資信託となっています【グラフ2】。

新NISAの話題になると、「オルカン」「S&P500」といった投資信託ばかりが注目されがちです。しかし実際には、NISAの4割は個別株投資です。利用者の多くは、つみたて投資枠で投資信託を積み立てながら、成長投資枠では日本株や外国株、ETF(上場株式投資信託)やJ-REIT(上場不動産投資信託)を購入していると考えられます。
NISAは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」や商品をうまく使い分けよう
SNSなどでは、「投信派」「高配当株派」「個別株派」が対立することがあります。
しかし今回の数字を見ると、実際の利用者は「投資信託か株式か」ではなく、両方を使い分けている可能性が高いと考えられます。
つみたて投資枠で長期積立をしながら、成長投資枠で好きな企業の株を買う。あるいは、配当利回りの高い企業や、魅力的な株主優待のある企業の株を組み合わせる、といった活用も広がっているのではないでしょうか。
みなさんも、「将来のため」「老後のため」などという目的で資産形成を行っているかと思いますが、具体的な資産形成の方法や資金の使い道はさまざまなのではないでしょうか。
たとえば、月々の給与からコツコツ積み立てる分、ボーナスからまとまった資金を投資する分、定期預金などから投資にシフトする分などのように、資金の出所もさまざま。一方、使い道についても、目的をもって積み立てている資金もあれば、「何年後にいくらにしたい」という目標を立てている資金もあるでしょうし、「値上がり・値下がりを見ながら柔軟に投資をする」といった運用資金もあることでしょう。
NISAは、対象商品に若干の制約があることと、「つみたて投資枠」は投資信託の積立専用投資であることといった決まりがあるものの、ライフプランに応じて比較的柔軟なプランで資産形成に使える制度といえます。投資信託と株式を組み合わせながら、ご自身に合った方法で資産形成しやすい制度です。
銀行でNISAを始めた人は、株式を買いたくなったときに注意
ここで注意したいのが、NISAの金融機関選びです。NISAの4割が株式投資という結果を見ると、「自分も個別株を買ってみたい」と思う人もいるかもしれません。
NISAには「同一年は1人1口座」のルールがあります。すでに銀行や信用金庫などで投資信託をNISAで購入している場合、証券会社での株式投資は課税口座での取引になってしまいますので注意が必要です。証券会社でNISA口座を利用している場合、株式投資を非課税で行うには同じ証券会社でなければなりません。
ただし、年が変われば、現在のNISA口座を廃止し、翌年に別の金融機関でNISA口座を開設することが可能です。変更したい年の前年10月1日から所定の手続きをすれば、NISAの金融機関変更ができます。
今回の調査からは、新NISAが投資信託だけでなく株式投資にも活用されていることが分かりました。大切なのは、誰かと同じ投資をすることではなく、自分の目的や家計に合った方法で長く続けることです。新NISAを上手に活用しながら、自分らしい資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。
【参考資料】 日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(証券会社全社・2025年12月末時点)」





