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気になるテーマ解説

スペースX、調達資金を何に使う?

宇宙開発企業スペースX(スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ・コーポレーション)がついに新規株式公開(IPO)に踏み切ります。上場予定日は6月12日。米国ナスダック市場へ上場します。ちなみに日本版の目論見書は400ページを超え、もはや書籍レベルといえます。


日本国内でもみずほ証券・楽天証券・SBI証券を通じた募集が行われており、申し込む個人投資家も多いでしょう。6月はAI関連銘柄やグロース市場銘柄を中心に荒れています。市場関係者からは「スペースXのIPOに申し込むため換金売りも出ているのではないか」とささやかれており、その影響はいい意味でも悪い意味でも非常に大きいものです。


投資家からするとIPOは短期間で利益を狙うチャンスというイメージが強いですが、企業からするとIPOはあくまで資金を調達する手段の一つにすぎません。IPO後を見据え、スペースXが何にお金を使っていくのか探ってみようと思います。


そもそもスペースXとは

スペースXは、起業家のイーロン・マスク氏が2002年に設立したアメリカの宇宙開発企業です。ロケットの再使用技術を実用化し、打ち上げコストを劇的に下げることで宇宙産業を一変させました。


収益基盤は衛星インターネット「Starlink」で、日本でもauなど使える通信キャリアがあります。もちろん自身で契約して使用することもできます。「Starlink」は人工衛星の一群(衛星コンステレーション)なので、運が良いと夜間に直列の流れ星群を見られることもあるとか。


目論見書を参照に業績を見るとこのような形になります


出所:スペースX 新株式発行届出目論見書


設立から20年ちょっとで売上高は187億ドル(1ドル160円換算で約3兆円)と、もはや新興企業ではなく大企業です。

 

出所:スペースX 新株式発行届出目論見書


セグメント別でみると「Starlink」を展開するコネクティビティは利益も伸びていますので、会社全体で黒字になるのは時間の問題と言えそうです。


今回の資金調達

スペースXは今回のIPOにより、日本国内では最大20億ドル(3200億円規模)、米国を中心とした海外も合わせると総額で750億ドル(約12兆円)を調達する計画です。起こりえない話ですが、金額だけで見れば三菱重工やJTなどを丸ごと買えることになります。


目論見書の説明によれば「AIコンピュート・インフラの拡大、打上げインフラ及び打上げ機の強化、衛星コンステレーションの規模及び能力の拡大を含む当社の成長戦略に充当し、残額を一般的な事業目的に充当する予定」としています。具体的な金額配分までは書かれていませんが、AIデータセンターや衛生網の拡充に大半が投じられるとみられます。


過去の設備投資額を見ると以下のように書かれていました。


出所:スペースX 新株式発行届出目論見書


目論見書にあるのは2023年以降ですが、加速度的に設備投資額が増えています。特にAIセグメントの増加が顕著ですね。このセグメントはAIモデル「Grok」、SNSプラットフォームの「X(旧Twitter)」、大規模AIデータセンター「COLOSSUS(コロッサス)」の運営などを展開しています。


資金使途に「AIコンピュート・インフラの拡大」とありましたが、今回の調達資金は約12兆円。これまでのセグメント別の投資金額を考えると、今後データセンター関連で数兆円規模の投資が発表されるかもしれません。


超大型IPOの後

今年前半は半導体製造装置、メモリー、電線などデータセンター関連が大きく盛り上がりましたが、6月はこれらが調整局面にあります。ただ、今年はスペースXだけでなく、OpenAI、アンソロピックといったAIの二大巨頭もIPOを実施する見通しです。


OpenAI、アンソロピックもAIモデルを拡大させるための大規模なデータセンター投資が必要とみられるため、当面は上昇と調整を繰り返しながらAIラリーが続く可能性は高そうです。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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