韓国市場のボラティリティが米国市場にも

先週はダウ平均が5週ぶりに反落 ナスダック総合は2週続伸


先週のNY株式市場はダウ平均が週間で0.50%安と5週ぶりに反落した一方、ナスダック総合は1.74%高と2週続伸となりました。


週前半は、ダウ平均が初の5万3000ドル台を突破後、米イランの戦闘再開に伴う原油急騰が嫌気され大幅反落しました。

週後半はイランの対話打診報道で懸念が和らぎ、大手ハイテク株への押し目買いで続伸しました。しかし週末11日から12日にかけて情勢は再び緊迫化。イランによる商船攻撃を受け、米軍が大規模な空爆を実施したほか、イラン側も周辺国の米軍基地へ反撃しました。

 


韓国のSKハイニックスがナスダック市場に新規上場


先週10日金曜日、韓国の半導体メモリー大手SKハイニックスADR(SKHY)がナスダック市場に新規上場しました。

IPO価格149ドルに対し、初値は170ドルをつけ、その後も一時177ドルまで急伸しました。終値は168.01ドルとなり、IPO価格を12.76%上回って終了しました。

同社は今回のIPOにより265億ドルを調達し、新工場建設や設備投資などの積極的な拡張計画に充てる方針だとしています。


週明け13日の取引では一転して激しい売りに押される展開となりました。韓国の本国市場(KOSPI)では、過去1年で株価が約500%も急騰していた反動から利益確定売りが殺到し、13日のソウル市場では、株価が同社過去最大となる15%超の急落を記録しました。

このアジア市場での大幅な下落がナスダックにも波及する形となり、米国上場のADRも一時、前日比16.71ドル安(-9.95%)の151.30ドルまで下落し、15.66ドル安(-9.32%)の152.35ドルと大幅に反落して終了。セクター全体の半導体株安を牽引しました。

米主要半導体株は13日の取引で、インテルが6.12%安、マイクロン・テクノロジーが4.32%安、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が4.21%安、エヌビディアが3.52%安となり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が4.78%安となりました。

 


韓国市場のボラティリティが米国市場にも波及


SKハイニックスの今後については、同社が世界シェアの約60%を握る「高帯域幅メモリー(HBM)」などAI半導体需要の持続性が焦点となりますが、米国市場では、SKハイニックスの米国上場によって結びついた韓国株式市場と米国株式市場の「相互接続的な構造的リスク」にも警戒感が強まっています。


今回の米国上場により、信用取引やレバレッジETFを多用する韓国個人投資家(通称:アリ)の投資行動や強制決済(マージンコール)リスクが、ナスダックなど米株市場へ直接波及する懸念が高まりました。


韓国の個人投資家は、一人ひとりの資金力は小さくても、群れをなして巨額の資金を動かし相場を左右することから、敬意と親しみを込めて「アリ(ハングルでケミ)」と呼ばれています。彼らの投資行動には、①レバレッジへの異常なまでの偏愛、②借金投資(ビットゥ)の多用、③強烈な「FOMO(取り残される恐怖)」とネット掲示板による群集心理など、日本の個人投資家とは大きく異なるいくつかの際立った特徴があります。


ビッグテックのAI投資計画に対する懐疑的な見方や地政学的リスクが強まる中、韓国市場における過度なレバレッジ解消が引き金となり、ナスダック市場をはじめとする世界の金融市場全体を揺るがす連鎖反応を引き起こすかどうかが警戒されています。





国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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