■長期相場観
ドル円は、「ドル高・円安8年サイクル」により、2024年7月3日の高値161.95円で当面の高値を付けた可能性が高まっていました。しかし、2026年6月に1986年以来の162円台を示現しましたので、2032年に向けて目標値175.50円を射程とするドル高・円安トレンドが開始された可能性が高まっています。
■短期相場観
ドル円は、短期的には、「ダブル・トップ」(162.84円・162.71円)の可能性が高まっており、低下傾向にある「MACD(移動平均収束拡散法)」も下押しの可能性を示唆しています。しかしながら、一目均衡表は、三役好転の買い時代にありますので、「新高値買うべし」のスタンスで臨むべきかもしれません。
ファンダメンタルズ分析では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本資産構成割合(基本ポートフォリオ)の変更に警戒しておきたいと思います。
2026年7月10日、片山財務相は「GPIFをはじめとする年金基金に、日本の金融資産にさらに投資してもらう方向で後押しする方策を追求したいと考えている」と表明しました。
6月30日に公表された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案による「骨太ショック」で、ドル円が1986年以来の162円台への円安、1996年以来の新発10年物国債利回りが1996年以来の2.90%への高水準まで上昇したことを、「片山ショック」で沈静化しようとしました。
GPIFや郵便貯金などは、2025年6月の米財務省による「外国為替報告書」(大規模な公的年金基金など政府系投資機関は、リスクを加味した収益や分散投資のために海外に投資すべきで、競争力を念頭に為替相場を目的にすべきではない)、9月の「日米財務相共同声明」(両者は、年金基金等その他の政府の投資主体による海外への投資は、引き続きリスク調整後のリターンや分散化の目的で行われ、競争上の目的のために為替レートを目標とはしないことに合意した)でも、円安要因として言及されており、トランプ米政権は、日本が公的年金基金の海外投資を通じて、事実上円安誘導をしているのではないか、と疑っているようです。
GPIFの2025年度末のポートフォリオは以下の通りとなっています。
・総資産:293兆6437億円
【国内】
・株式 23.81% 71兆3905億円(※25%±6%)
・債券 26.91% 80兆6791億円(※25%±6%)
【外国】
・株式 24.80% 74兆3569億円(※25%±6%)
・債券 24.48% 73兆3990億円(※25%±5%)
外国株式・債券への投資分が「下限」に低下した場合、30兆円程度の円買いになります。



