日経平均やTOPIXは、いったん構成銘柄が決まったら、そのままではありません。市場や産業構造の変化を反映するため、一定のルールに基づいて銘柄を見直しています。
2026年は、8月末にJPX日経インデックス400、JPXプライム150指数、JPX日経インデックス人的資本100などで定期入れ替えが実施され、秋にはTOPIX(東証株価指数)や日経平均でも見直しが行われます。
株価指数も「定期メンテナンス」
まずは株価指数について、おさらいしておきましょう。株価指数とは、一定のルールで選んだ複数の銘柄の値動きを、一つの数値で表したものです。市場全体の動きを表す指数もあれば、一定の特徴を持つ企業群の値動きを表す指数もあります。
構成銘柄が上場廃止や企業再編などによって取引されなくなる場合は、指数から除外されます。指数によっては、その際に別の銘柄を補充することもあります。
また、株価指数は、投資信託や年金基金、生命保険会社などの運用の目安としても使われます。このような運用の基準を「ベンチマーク」といい、特定の指数に連動する運用を「インデックス運用」といいます。
株価指数には、市場全体や企業群全体の値動きを示す役割があります。そのため、市場環境の変化に応じて、指数を構成する銘柄は定期的に見直す必要があります。いわば、その指数の目的に合ったメンバーに組み直す“定期メンテナンス”です。
定期見直しによる採用や除外は、企業の優劣を単純に決めるものではありません。その指数の目的と選定基準に合うかどうかで決められます。
指数によって銘柄を選ぶ「物差し」が違う
2026年は、多くの株価指数の定期見直しが行われます【表】。

追加数と除外数が一致しない指数があるのは、定期入れ替え前に上場廃止などによる非定期の除外があり、構成銘柄数が規定数を下回っていたためです。
定期見直しで用いられる基準は、どの指数も同じではありません。資本効率、市場評価、企業規模、流動性、人的資本など、指数ごとに重視する要素が異なります。いずれの指数も、共通する一つの基準で「よい会社」を選んでいるわけではありません。
TOPIXと日経平均もルールを見直し
TOPIXは、2026年10月末から第二段階の見直しに入ります。
東京証券取引所は2022年4月に市場区分を再編し、それまでの東証1部などに代わって、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」を設けました。これに伴って、TOPIXも段階的に見直されています。
従来、TOPIXは東証1部上場銘柄が対象でしたが、今後は市場区分にかかわらず、流動性を重視して構成銘柄を選びます。年1回、8月末を基準として判定し、10月末に定期入れ替えを実施する仕組みになります。市場への影響を抑えるため、除外対象のウエートは一度にゼロにせず、段階的に引き下げます。
日経平均株価は、2026年10月1日から新しいルールが適用され、2026年秋の定期見直しにも反映されます。業種を従来の6セクターから7セクターに分け、「情報通信」を独立させます。また、同じセクターの中で、市場流動性の低い既採用銘柄と、市場流動性の高い未採用銘柄を入れ替える仕組みが加わります。
なぜ銘柄の入れ替えが株価に影響するのか
日経平均やTOPIXなどに連動するインデックスファンドは、指数とできるだけ同じ値動きになるように構成銘柄を保有します。
指数の入れ替え銘柄が発表されると、採用銘柄にはインデックスファンドからの買い需要が、除外銘柄には売り需要が生じると予想されます。そのため、実際の入れ替えに先回りして、投資家が採用銘柄を買い、除外銘柄を売ることがあります。
その後、入れ替えの実施に合わせて、インデックスファンドは採用銘柄を買い入れ、除外銘柄を売却します。このように、指数と同じ構成になるように保有銘柄を調整することを「リバランス」といいます。
多くのファンドが同じ時期にリバランスを行うため、入れ替え実施日の直前、とりわけ前営業日の終値を決める売買に注文が集中することがあります。
ただし、入れ替えに伴う売買が一巡すると、採用銘柄への一時的な買い需要や、除外銘柄への売り需要は落ち着きます。そのため、入れ替え前に動いた株価が、実施後も同じ方向に動き続けるとは限りません【図】。

指数への採用は、その企業が指数の選定基準に合ったことを示します。しかし、業績や企業価値の将来を保証するものではありません。除外も、ただちに企業の価値が低下したことを意味しません。
定期入れ替えをきっかけに、「なぜこの指数はこの銘柄を選ぶのか」と選定基準を確認すると、指数の性格や投資対象をより深く理解できるのではないでしょうか。



