【S&P500新規採用】:燃料電池のブルームやゲノム解析のイルミナが構成銘柄に

S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成される株価指数です。構成銘柄に採用されるには米国企業であることが前提で、それは米国内での売上高や固定資産、本社所在地などで判断されます。


このほかの要件には◇過去4四半期の純損益の合計が黒字で、直近の四半期の純損益が黒字◇グローバル産業分類標準(GICS)の分類に基づく産業バランスが適切――などがあります。また、時価総額の基準は2025年7月に「227億ドル以上」に引き上げられ、その後もこの水準は維持されています。


今回は2026年9月21日からS&P500に加わったブルーム・エナジー(BE)、イルミナ(ILMN)、エバーピュア(P)をご紹介します。


ブルーム・エナジー、AIデータセンターの電力需要で急成長

ブルーム・エナジーは、燃料電池を中心に分散型エネルギーシステムを提供する企業です。主力製品の「ブルーム・エナジー・サーバー」は、天然ガスやバイオガス、水素などを利用して電力を作り出す固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、発電所から送電網を通じて電力を供給する従来型の方式とは異なり、消費する場所の近くで電力を供給できる点が強みです。



同社が注目されている背景には、人工知能(AI)向けデータセンターの急速な拡大があります。AI処理に利用する画像処理装置(GPU)などの半導体は大量の電力を消費するため、データセンターでは電力の安定確保が大きな課題になっています。


送電網の容量不足や許可取得の遅れで電力網への接続待ちは長期化しており、オンサイト(現地設置型)発電へのシフトが進んでいます。電力供給のボトルネックを回避し、事業のスケジュールを確保するため、企業はオンサイト発電に頼らざるを得ないのが実情です。ブルーム・エナジーのシステムは、電力網への負荷を抑えながら比較的短期間で発電設備を設置できるという特性で、こうした需要を取り込んでいるのです。



事業は急速に成長しており、2025年12月期の売上高は前年比37%増の20億2000万ドルとなり、初めて20億ドルを超えました。会社側によると、AIデータセンター業界からの需要が大きく寄与しています。また、受注残高は前年の2.5倍に拡大しました。


地域別では米国での展開が中心ですが、韓国のSKグループと戦略提携し、韓国でも682メガワット(MW)相当の納入実績を上げています。


イルミナ、DNA解析を支えるゲノム企業

イルミナは、DNAシーケンサーや試薬などを提供する企業です。生命科学研究や創薬、臨床診断などの分野に向けて、遺伝情報を高速かつ大量に読み取るための装置、消耗品、サービスを提供しています。


主力となるのがDNAシーケンシング事業です。研究機関や製薬会社、医療機関などが同社のシーケンサーを導入し、遺伝子の配列を解析します。装置を販売するだけでなく、解析に必要な試薬や消耗品、サービスも提供しているため、装置の普及が進むほど継続的な収益につながりやすいビジネスモデルとなっています。実際、2025年12月期の売上構成では、消耗品が全体の74%、機器本体が11%、サービスその他が15%を占めています。



イルミナの競争力の源泉は、独自の一分子合成シーケンス(SBS)法をはじめとする高度な技術力にあります。ヒトゲノム解読コストを大幅に引き下げた高性能シーケンサー「NovaSeq X Plus」や卓上型の「MiSeq i100」シリーズなどのプラットフォームを展開しています。現在の成長を支えているのが、高性能シーケンサー「NovaSeq X」です。主力製品を軸に2026年4-6月期には売上高が前年同期比9%増の11億5900万ドルに伸びています。


特に臨床分野ではシーケンシングを利用した診断の普及が進んでいます。2026年4-6月期には臨床市場向けシーケンシング消耗品の売上高が中国を除いて15%増加しました。また、NovaSeq Xへの移行も進み、売上高の約59%がこのプラットフォームに移行しています。



ソリューションは幅広い分野で活用されています。特にがんゲノム領域では、液体生検(リキッドバイオプシー)による微量のがん検出やターゲット療法の特定に貢献しています。また、非侵襲的出生前遺伝的検査(NIPT)などの生殖医療や希少疾患の研究、農学分野までカバーしています。


人工知能(AI)関連銘柄が注目される中、イルミナは創薬や医療の高度化を支える「生命科学の基盤企業」といえます。ゲノム解析が研究用途から臨床用途へ広がることで、長期的な成長余地を確保できるかがポイントです。


エバーピュア、AI時代のデータを支えるストレージ企業

エバーピュアは企業向けの統合ストレージとデータ管理プラットフォームを提供するIT企業です。旧社名はピュア・ストレージで、2026年2月に社名を変更しました。4月にはティッカーシンボルを「P」に変更しています。


主力製品はソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を利用したフラッシュストレージです。企業が保有する大量のデータを高速に保存・処理するためのインフラを提供しています。ストレージメーカーから、オンプレミス、クラウド、エッジなどに存在するデータを一元的に管理するデータ管理プラットフォーム企業への転換を進めています。



背景にあるのが人工知能(AI)の普及です。AIを活用するには大量のデータが必要ですが、データが複数のシステムやクラウドに分散していると、AIで利用するまでに多くの手間がかかります。エバーピュアは、データの保存だけでなく、データを発見、分類、管理し、AIが利用しやすい状態にする機能を強化しています。2026年にはデータインテリジェンス企業1touchの買収も完了し、データ管理機能を拡充しました。


事業面の強みの源泉はハードウエアとソフトウエアを高度に統合した独自の技術にあります。すでに大手のハイパースケーラーで採用されており、データセンターの消費電力と設置面積の大幅削減などに貢献しています。



AI時代には、計算能力だけでなく、そのAIが学習・推論するためのデータをどのように保存し、管理するかも重要になります。エバーピュアは、そのデータ基盤を担う企業として成長を目指しています。

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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