ナスダック総合が最高値更新 メタが大幅高

先週はダウ平均が7週ぶりに反発し、ナスダック総合は2週続伸


先週のNY株式市場では、ダウ平均が0.28%高と7週ぶりに反発し、ナスダック総合が2.06%高と2週続伸となりました。


中東情勢を巡る米イラン交渉進展への期待から原油価格が急落し投資家心理が改善したほか、米中貿易停戦の2カ月延長合意や、メタなどのAI関連株の上昇が相場を牽引しました。一方、米景気指標の強さから米10年債利回りが一時5.23%台と2007年以来の高水準へ上昇し、追加利上げ観測から週半ばに売られる場面もありましたが週末にかけて持ち直しました。


ナスダック総合は、メタなどのAI関連銘柄を中心としたハイテク株に活発な買いが入ったことで、週明け21日に6月2日以来、3カ月半ぶりに終値の過去最高値を更新すると、翌22日は約4カ月ぶりに取引時間中の史上最高値を更新し、終値でも連日で過去最高値を更新しました。


メタが大幅高 新AI「Muse」に対する期待と過熱感


ナスダック総合の最高値更新に寄与したメタ・プラットフォームズは週間で12.90%高と急伸し、2025年9月以来の高値を更新しました。メタのAIエージェント「Muse」が、米国のアップルApp Storeで無料アプリのダウンロード数首位を獲得し、OpenAIの「ChatGPT」を抑えていることが好感されました。


メタは、新たなパーソナルAIエージェント「Muse」の発表後、3週間で株価が27%急伸しました。Museは従来の画面やマウスによるWeb操作に代わり、人間とコンピュータが対話形式で直接やり取りを行う全く新しいインターフェースとして高い期待を集めていますが、急激な株価上昇によりバリュエーションは過去最高圏に達しています。実際、同社の予想PERはS&P500指数対比でディスカウント状態から21%のプレミアムへと急拡大し、過去5年間の取引日の99%よりも高い割高水準となりました。


短期的にはデータセンターを中心とする莫大な設備投資がフリーキャッシュフローや営業利益率を圧迫しており、かつて1984年のMacintosh登場からWindows 95によるGUIの大衆普及まで10年を要した歴史が示すように、Museの本格的な収益化(マネタイズ)や同社SNSの36億人に及ぶ日常ユーザーにおける行動変容には相応の時間を要するとみられます。市場の過熱感に対し、中長期的な収益化の実現性と財務負荷のバランスを見極める局面を迎えています。


収益化に向けた課題と莫大な設備投資リスク


具体的な収益化策として、同社は取引ごとの手数料(いわゆるMuse Tax)やサブスクリプション、190億ドルの赤字が見込まれるReality Labs部門が手掛けるスマートグラス等のハードウェア展開を模索していますが、売上の98%を占める既存の広告ビジネスはプライバシー重視のAI設計と構造的に相反するリスクを抱えています。55分間に及んだConnect基調講演で「広告」への言及が一切なかったように、AIとの対話データが保護・隔離されることで、同社の強みであるターゲティング広告の精度向上に繋がりにくい懸念も存在します。


さらに、前期720億ドル規模に上るデータセンター投資の今期倍増や約7,000億ドル規模の将来コミットメントが重荷となり、自社株買いの停止やキャッシュフローの縮小、利益率の低下を引き起こしています。

来期の売上高見通しが20%増であるのに対しEPS成長率が9%にとどまると予想される中、株価収益率(PER)もS&P500に対して歴史的な高水準に達しており、投資家は期待先行の買いから収益化の実効性と財務リスクを冷静に精査するスタンスが求められます。

 



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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